会計・税務

社員旅行を経費に出来る?旅行代を経費にする為の要件について徹底解説!

従業員への日頃のお礼や、従業員同士のコミュニケーションを図る為に、社内イベントの一つとして、社員旅行を実施している企業があります。

今回は、社員旅行にかかった経費を計上する為の必要要件について解説していきたいと思います。

社員旅行は経費計上する事が出来る?

社員旅行を実施する目的は、従業員同士のコミュニケーションを図る事や、日頃の疲れを癒す為などが挙げられます。

このような目的で実施した社員旅行は経費として計上する事が出来るのでしょうか。

社員旅行にかかった経費はどのような科目で計上すべきでしょうか。

福利厚生費として計上する

社員旅行を経費として計上する場合には、福利厚生費として処理する必要があります。

福利厚生費とは、企業が従業員に対して支出する内容の経費であり、法定福利費と法定外福利費の2種類に分ける事が出来ます。

名称法定福利費
内容従業員を雇用している事業者が、法律の定めに従って負担すべき社会保険料や労働保険料などを指します。
具体例●健康保険
●厚生年金保険
●介護保険
●労災保険
●雇用保険
名称法定外福利費
内容法律上には明示されておらず、法定福利費以外に、企業が独自のルールを制定して、従業員のモチベーション向上等を目的として支出する費用になります。
具体例⚫️住宅手当
⚫️交通費の全額支給
⚫️資格取得の為の学費手当
⚫️退職金制度
⚫️社宅制度、等々

上述したように、社員旅行を経費として計上する為には、福利厚生費(法定外福利費)として計上する必要があります。

社員旅行を経費計上する為の要件とは?

社員旅行にかかった費用を、会社の経費として計上する為には、いくつか要件を満たす必要があります。

社員旅行が経費計上される為の条件

社員旅行を経費計上する為の必要な要件は、以下の通りになります。これらの要件を総合的に勘案することで、経費性を判断します。

旅行の目的・企画主宰

旅行の内容や目的が、社内親睦や従業員のモチベーション向上を目的として行われるレクリエーション旅行であること。

企画・主宰を会社主導で行っているのであれば、より経費計上の信頼性が増します。

旅行期間による要件

社員旅行にかかった費用を経費計上する為には、旅行期間がどのくらいであるのかが重要になります。

この期間は、一般的に4泊5日以内とされております。

なお、海外旅行の場合、機内泊についてはこの4泊5日以内にはカウントされません。

参加対象・人数による要件

社員全員が参加出来る旅行であることが、必須要件となります。

役員など一定の人しか参加する事が出来ない場合には、役員報酬や給料として扱われ、福利厚生費として経費計上する事が認められません。

また、旅行に参加した人数が、全体の人数の概ね過半数以上であることが経費計上する為には必要となっております。

金額による要件

社員旅行にかかった費用が、常識の範囲外に高額な場合には、経費として計上する事が認められない可能性があります。

国税庁では、金額について、具体的な金額を明示しておりませんが、社会通念上、妥当な金額として7~10万円程度を基準に考えると良いでしょう。

税務調査の際に、高額と指摘された場合には、従業員に対する給料として源泉徴収も必要になるので注意が必要です。

社員旅行にかかった費用を経費計上する為に実施すること

社員旅行にかかった費用を経費として計上する為には、上記要件を満たしている他、実際に旅行へ行った事が証明できるレシートや領収書などの証憑書類を保管しておく必要があります。

上記証憑書類の他、旅行へ行った期間や、参加した従業員の人数などを記載したメモも合わせて保管しておく必要があります。

また、社員旅行が福利厚生の一環であることを就業規則や細則規程に明記しておくと、社内ルールが明確化され、経費計上の信頼性も増えます。

税務調査が入った際に、上述した証憑書類の保管や、社内規則に明示されている事を証明すると良いでしょう。

まとめ

社員旅行へ福利厚生目的で行った場合に経費計上する為には、実際にどのくらいの期間で旅行へ行ったのか、誰が参加したのか、金額はいくらかかったのか分かる資料を準備する必要があります。

闇雲に旅行でかかった費用を経費計上した場合、税務調査において指摘されてしまうので、上述した要件を満たしている事を説明出来るようにしておく必要があります。

Conduct

植西 祐介
税務会計事務所・社会保険労務士事務所コンダクト 代表、公認会計士/税理士/社会保険労務士