【2024年定時決定】算定基礎届とは?提出後のスケジュールとよくある質問も解説
毎年6・7月は労働保険の年度更新と社会保険の定時決定手続きが重なり労務担当者の方は多忙なシーズンかと思います。
前回の記事では年度更新について解説しました。
本記事では、社会保険の定時決定について概要と手続き方法、よくある質問をまとめました。
算定基礎届・定時決定とは?
算定基礎届・定時決定
社会保険の定時決定とは、4月から6月の報酬金額をもとに、その年の9月から1年間の社会保険料の基本となる標準報酬月額を決定するための手続きを指します。
定時決定は、年金事務所へ「算定基礎届」を提出して行うため、「算定」と略して呼ばれることが多い手続きです。
定時決定の対象者
7月1日時点で在職中で社会保険に加入している従業員及び70歳以上の従業員は基本的に定時決定の対象者となりますが、例外として下記の方は対象外となります。
- 6月1日以降に社会保険に加入した人
- 7月の随時改定で月額変更届を提出する人
- 8月または9月に随時改定の予定があると申し出ている人
上記に当てはまらなければ、育児休業や病気での休職により4月から6月の給与が支給されていない方も対象になるので要注意です。
定時決定の「報酬」に含む手当
報酬には基本給だけでなく家族手当や通勤手当等の各種手当、残業代等も含まれます。
「4月〜6月に残業が多いと社会保険料が高くなる」と言われるのはこのためです。
給与として支給するものは基本的に報酬に含まれるという認識で問題ありませんが、以下のようなものは報酬に含まれません。
- 病気見舞金や結婚祝金
- 解雇予告手当
- 賞与に該当するもの
定時決定の手続き
算定基礎届の提出時期
算定基礎届は、毎年7/1〜7/10の間に提出します。
提出期間は10日間と短いので、6月支給の給与額が決定した時点で申請書を作成しておき、7月に入ったら提出できるよう準備をしておくとスムーズです。
提出先
算定基礎届の提出先は管轄の年金事務所で、電子申請、郵送、書類の持ち込みいずれかの方法で行います。
申請後のスケジュール
算定基礎届の提出後、7月下旬〜8月ごろに標準報酬決定通知書が届きます。
標準報酬月額が改定されるのは9月からですので、社会保険料を翌月控除で徴収している会社では10月支給の給与から控除する社会保険料の金額が変更になります。
算定基礎届・定時決定についてのよくある質問
Q1:算定基礎届と月額変更届(7月・8月・9月改定分)では、 どちらが優先されますか?
7月、8月又は9月の随時改定に該当する被保険者は、随時改定(月額変更届)により決定された標準報酬月額が優先されます。
Q2:2つ以上の会社で社会保険に加入している従業員の算定基礎届はどのように提出したらよいですか?
2つ以上の会社で社会保険に加入している場合は、それぞれの会社から選択事業所を管轄する年金事務所(=保険証を発行している会社の管轄年金事務所)に届け出をします。
Q3:交通費を毎月支給するのではなく、6ヶ月分の定期代を6ヶ月に1回支給しています。4・5・6月に交通費を支給しない場合は算定基礎届に記載する金額に含める必要はないですか?
6ヶ月分の定期代を支給している場合は、各月の給与額に定期代÷6の金額(=1月あたりの交通費)を加算して記載します。
Q4:正社員で欠勤控除がある月の日数・金額はどのように記入しますか?
日数については、就業規則や雇用契約書に基づき会社が定めたその月の所定労働日数から、欠勤日数を控除した日数を記載します。
単純に出勤した日数を記載するわけではない点にご注意ください。
例)5月の所定労働日数が20日で2日欠勤した場合
支払基礎日数は18日(所定労働日数20日―欠勤日数2日)となります
Q5:給与計算期間の途中入社した人の扱いはどうなりますか?
途中入社の場合、入社月は給与が日割りで計算され、1か月分支給されないことがあります。
入社月の給与が満額支給されなかった場合は、支払基礎日数が17日以上あってもその月は算定対象月に入れず、翌月からが算定対象月になります。
例)末締め・翌月25日支給の会社で4/15に入社した場合
4/15~4/30勤務(5月25日支給)については算定の計算に含みません
→6月25日支給分のみで定時決定されます
Q6:提出が7月10日に間に合わなかったらどうなりますか?
7月10日に間に合わなかったとしても、直ちに罰則があるわけではありません。
提出の準備が出来次第、直ちに提出をしましょう。
提出を失念していた場合には8月に入ると年金事務所からの催促が届きます。
その際もすぐに対応すれば直ちに罰則があるわけではありませんが、標準報酬決定通知書が届くのが遅くなる可能性があります。
まとめ
本記事では社会保険の定時決定について解説しました。
年に一度の手続きなので毎年の書き方を悩みがちな算定基礎届ですが、従業員の社会保険料や将来の年金額に関わる重要な手続きです。
不安がある場合はぜひご相談ください。