【算定&年更】保険料率の構造を理解して経営視点を身に付けよう
2024年度の年度更新・算定基礎届は来週、7/10(水)が提出期限ですが、対応はお済みでしょうか?
期限内に提出することはもちろんですが、経営者の方・視座をあげたいバックオフィスの方についてはただ申請すると同時に、保険料の負担率やキャッシュフローを意識して会社の業績管理上のインパクトを合わせて理解すると良いでしょう。
年度更新・算定基礎届の概要・よくある質問はこちらで解説しています。
提出が完了した方も、まだの方も、ぜひご一読ください。
年度更新・算定基礎届は期限内に申請するだけじゃダメ?
年度更新・算定基礎届は期限内に提出することは大前提ですが、経営者・管理部門の担当者としてもう一段視点をあげて意識すべきポイントがあります。
「経営者目線」を持つために意識すべきこと

保険料率と人件費負担の関係性を答えられるようにする
年度更新・算定基礎届の書類作成時に意識したいポイントは、人を雇う際にかかる保険料率の会社負担分、つまり業績上のインパクトです。
労働保険、社会保険の会社負担の保険料率は以下の通りです。
労働保険 | 雇用保険 | 厚生年金 | 健康保険 | 子ども子育て拠出金 | |
会社負担の保険料率 | 0.3% | 0.95% | 9.15% | 4.99% | 0.36% |
上記を合計すると約15%の保険料が、給与に上乗せされてかかることがわかります。
額面給与30万円の従業員を雇用する場合、単純に30万円ではなく労働保険料・社会保険料だけでも約4.5万円のコストが上乗せでかかる点を常に意識しておけると、経営者が人員計画や業績管理を行う上で視座で会話することができます。
また詳細にはなりますが、通勤手当についても労働保険料・社会保険料の対象となります。
遠方から通勤する従業員については通勤手当の金額が高くなるため必然的に労働保険料・社会保険料の標準報酬が上がり、業績インパクトも変わる点も覚えておくと良いでしょう。
業務委託と雇用契約、どちらを選ぶべきか
よくある組織上の論点として、人員計画を立てていく際に、近年のビジネスモデルでは「雇用契約」と「業務委託契約」のどちらを選ぶ方が良いか?という論点を考える場面があります。
上記は一概には言えず、雇用契約・業務委託契約についてはそれぞれ人件費以外にもメリット・デメリットがあります。
★雇用契約・業務委託契約のメリット・デメリット
- メリット:業務やリソースが安定しやすい、社内のエンゲージメントを高める
- デメリット:労働法の遵守、労働管理のリスク、社会保険料の追加負担
- メリット:労働管理のコスト・リスクが少ない、流動的・機動的に人材の活用ができる
- デメリット:定着が難しい、リソースが安定しない、偽装請負へのリスク対応
最終的には上記を踏まえ、労務管理のコストやリスク側を重視するのか、社内のカルチャー形成を重視するのか等、会社の状況に合わせて判断が必要です。
これらのメリット・デメリットを比較して人員計画を作っていく際にも、社会保険料の構造を理解しておくのは重要です。
また業務委託契約を選択する際は、社会保険料等のコストを逃れるための「偽装請負」にならないよう注意しましょう。

まとめ
本記事では、年度更新・算定基礎届のタイミングで経営者や労務担当者が意識したいポイントをお伝えしました。
年度更新・算定基礎届の提出自体がまだ完了していない、方法に不安があるといった場合もぜひご相談ください。