【令和6年度】給料や報酬に対する源泉所得税の基本理解と定額減税時の源泉税納付対応について
給料や士業に対する報酬に係る源泉所得税について、いつまでに納付すれば良いか、令和6年6月から始まった定額減税はどのように影響してくるのか、解説していきたいと思います。
源泉所得税とはどういったもの?
源泉所得税とは
源泉所得税は、勤務先である会社が従業員に対して支払う給料や外注費などに対する報酬より徴収する所得税の事を言います。
この給料や報酬に係る源泉所得税は、支払時に一定額を徴収して、所轄税務署へ会社が納付する仕組みになっています。
源泉所得税の計算方法について
給料や報酬に係る源泉所得税は、それぞれ計算方法が異なります。
ここでは給料と報酬に係る源泉所得税について、どのように計算されるかを解説したいと思います。
給料から発生する源泉所得税の計算方法
給料から発生する源泉所得税は、「給与所得の源泉徴収税額表」に記載された金額を基に算出されます。
源泉徴収税額表を国税庁より公表されておりますので、下記PDFをご参照ください。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/zeigakuhyo2023/data/01-07.pdf
計算過程としては、以下の通りです。
- 基本給に、残業代などの諸手当を加算し、欠勤控除などがある場合には基本給から差し引いた総支給額を計算し、課税支給額を求めます。
- 課税支給額から、社会保険料を控除した金額を算出します。
- ②で算出した金額を、上記の「給与所得の源泉徴収税額表」に当てはめて、源泉所得税の金額を計算します。
報酬から発生する源泉所得税の計算方法
フリーランスなどの個人へ支払う報酬から発生する源泉所得税の計算方法は、原則として、報酬に対して10.21%を乗じた金額が、源泉所得税となります。
ただし、1回の報酬額が100万円を超える場合には、100万円を超えた部分に対する税率は20.42%となります。
この場合の報酬額とは、基本的には税込金額となりますが、本体価格と消費税の金額が明確に区分されている場合には、税抜金額を源泉徴収の対象とする事も出来ます。
源泉所得税の納付はいつ行えば良い?
上述した源泉所得税について、いつまでに納付すれば良いのでしょうか。
ここでは源泉所得税の納付期限について解説していきます。
原則的な納付期限について
源泉所得税の納付期限は、原則として、給料や報酬を支払った月の翌月10日までに納付する必要があります。
例えば、6月25日に給料を支払った場合には、その翌月である7月10日までに源泉所得税を管轄の税務署へ納付する必要があります。
納期の特例を選択している場合の納付期限について
原則として、源泉所得税の納付は、給料や報酬を支払った月の翌月10日までに納付する必要があります。
しかし、「納期の特例の承認申請書」という書類を税務署へ提出している場合には、半年に1回の納付をすれば良い事とされております。
具体的には、1月から6月に発生した源泉所得税を7月10日、7月から12月に発生した源泉所得税を1月20日に納付する必要があります。
ただし、納期の特例を選択出来るのは、給料の支給人数が常時10人未満の事業者に限られます。
また、報酬に係る源泉所得税について、この報酬は個人の税理士や司法書士など士業へ支払う報酬が対象であり、通常のフリーランスへ支払う報酬から発生する源泉所得税は対象外となる事に注意が必要です。
源泉所得税の納付方法について
源泉所得税は原則として、給料や報酬を支払った月の翌月10日まで、納期の特例を選択している場合には1月と7月の年2回の納付を行えば良い事とされています。
この源泉所得税を納付するにはどのように納付すれば良いか、納付方法について解説していきます。
納付書で納付する方法
税務署より送られてくる納付書を利用して最寄りの金融機関または税務署の窓口で納付する方法
ダイレクト納付
事前に税務署や利用する金融機関へダイレクト納付を利用する旨の届出書を提出しておけば、e-taxによる申告後にインターネットから納付手続きを行う事が可能になります。
ダイレクト納付は手数料無料ですが、領収書は発行されません。
インターネットバンキング納付
ダイレクト納付のように事前に申請をしなくても、金融機関とインターネットバンキング契約をしていれば、e-tax上で発行されるメッセージ通知を開いてインターネットバンキングと接続することで納付手続きが可能になります。
ダイレクト納付と同様に、手数料は無料ですが、領収書は発行されません。
クレジットカード納付
クレジットカードによる納付も可能であり、「国税クレジットカードお支払サイト」より、納付手続きを進められます。
なお、クレジットカード納付の場合、ポイントが付与されるのがメリットとして挙げられますが、デメリットとして納付金額に応じた手数料が発生しますので、カード会社毎に有利不利が異なるので注意しましょう
また、領収書の発行も行われません。
定額減税は源泉所得税の納付に影響するのか?
令和6年6月より始まった定額減税が源泉所得税の納付にどのような影響を与えるかについて、6月は源泉所得税が0円となる場合も考えられる為、定額減税後の取り扱いについて解説します。
定額減税を考慮しても納付書の提出は必要?
定額減税を加味した場合、6月に発生する源泉所得税が0円というケースも多く発生します。
この場合、納付すべき源泉所得税は発生していなくても、管轄の税務署へ納付書の提出を行う必要はあります。
事業者の皆様は、6月は源泉所得税が発生していないから翌月10日に納税する必要はありませんが、納付書に0円と記載して管轄税務署へ提出するのを忘れないようにしましょう。
まとめ
今回は源泉所得税の納付について解説しました。
「納期の特例の承認申請書」を税務署へ提出している事業者であれば、納付期限は7月10日までに納付しなければなりません。
毎月納付であれば、源泉徴収をした月の翌月10日までに納付が必要なので、この場合も7月10日までに納付忘れがないように気をつけましょう。
6月分は定額減税の為、源泉所得税が発生していない事業者も多くいると考えられますが、その場合であっても上述したように、納付書の提出は従来通り必要になるので、ご注意下さい。