【育休延長の厳格化】概要と2025年4月1日以降の手続き実務・注意点を解説
育児休業給付金については1歳時点・1歳半時点において保育園に入園できない等の事情があれば最大2歳まで延長することが可能です。
今後も上記は継続されますが、令和7(2025)年4月より延長の審査が厳格化されることとなりました。
本記事では改正の概要と手続き実務について解説しています。
改正の概要

これまでは保育所等の利用を申し込んだものの入園できないことについて、市区町村の発行する入所保留通知書などの提出が延長の要件とされていました。
しかし育休延長狙いの申請による行政の繁忙等を理由として令和7(2025)年4月より、これまでの確認に加え、保育所等の利用申し込みが速やかな職場復帰のために行われたものであると認められることが必要となり審査が厳しくなりました。
令和7(2025)年4月1日以降の手続き必要書類
- 市区町村が発行する保育所等の利用ができない旨の通知
- 育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書
- 市区町村に保育所等の利用申し込みを行ったときの申込書の写し
令和7年3月31日までの申請の場合は①のみで延長申請が可能でしたが、4月1日以降は追加で②③が必要となります。
①市区町村が発行する保育所等の利用ができない旨の通知
市区町村から発行される「入所保留通知書」「入所不承諾通知書」などを指します。
本件の書類については1歳の誕生日時点で入園保留されていることが証明できるものが必要です。
例)1/15生まれの場合→1月1日付けで入園を希望し、保留となった通知書が必要
市区町村により入園希望月ごとの入園申し込み締切日は異なりますので、従業員本人にお住まいの市区町村に確認のうえ手続きをしてもらう必要があります。
また、認可外保育園にしか入園申し込みをしていない場合には延長は不可となりますので、必ず認可保育園への申し込みが必要です。
②育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書
様式は厚生労働省のホームページからダウンロードが可能です。
申告書には以下のような内容について記載します。
- 利用(入所)申込みに当たり、入所保留を積極的に希望する旨の意思表示をしていないか
- 利用(入所)内定を辞退したことがあるか
- 利用(入所)申込みをした保育所等の中で自宅から最も近隣の施設名と通所時間、通所時間(片道)が30分以上の場合、その理由
これまでは育休延長のため入園申込時に入所保留をしていても入所保留通知書、入所不承諾通知書などにはその旨は記載されないため育休延長の対象となっていました。
しかし今後は入所保留を積極的に希望する旨の意思表示をしている場合は延長ができなくなります。
また遠方の保育園のみを希望している場合には、通勤の途中で利用する・子に特別の配慮が必要である等の合理的な理由が求められます。
③市区町村に保育所等の利用申し込みを行ったときの申込書の写し
延長事由認定申告書と合わせて実際に入園申し込みをした際の写しも提出するため、延長事由認定申告書に虚偽の記載をすることはできません。
まとめ
育児休業の延長について、上記の通り審査が厳格化され最大2歳までの延長は難しくなります。
その反面、出生後休業支援給付や育児時短就業給付の創設等、育児中の方にプラスになる改正も予定されています。
育児休業周りの法律は改正頻度が高く、今後も動向について注意する必要がありそうです。