会計・税務

経理業務の未経験の一人バックオフィス&経営者必見!日々の取引から決算までの基本ポイントを徹底解説!

経理業務にこれまで従事したことがない人にとって、日々の取引を会計入力して決算を行うというのは非常に難くハードルが高いと思う人も多いと考えられます。

今回は、一人バックオフィスや経営者の方々に向けて、日々の仕訳業務と決算を行うための必要な知識やポイントについての全体像を紹介したいと思います。

決算までの全体プロセスについて

日々の取引を帳簿に入力することを「仕訳」と言います。仕訳を理解するためには、まず簿記を理解しておく必要があります。

日々の取引を仕訳入力する目的、すなわち最終的なゴールは「決算書」を作成することを理解した上で、以下では簿記全体の流れを解説していきます。

決算までの全体の流れ

  1. 日々の取引を把握する
  2. 取引を仕訳として計上する
  3. 仕訳を総勘定元帳へ集計し、試算表を作成する
  4. 決算整理仕訳をする
  5. 財務諸表(決算書)を作成する

日々の取引を把握する

日々、事業活動を行っていくと、取引先や仕入先に対して様々な取引と入出金が発生します。

経理業務を行うためには、まず第一にこの取引内容を正しく把握する必要があります。

具体的には、契約書や請求書、領収書といった事業活動の証憑(「しょうひょう」と読み、「エビデンス」とも表現します)を集めて、取引内容を把握する必要があります。

取引を仕訳として計上する

事業活動の結果である取引は、売上や経費として会計帳簿に計上する必要があり、これを仕訳という方法で計上します。

仕訳とは、「複式簿記」というルールに基づいて、一つの取引を「貸方」と「借方」という二つの事象に分けて、勘定科目を使って計上することであって、会計の基本所作である仕訳を通して、正しく帳簿に記録を行っていくことになります。

※勘定科目とは、現金や売掛金、買掛金など、取引を分けるための項目名になります。

仕訳を総勘定元帳へ集計し、試算表を作成する

上述した仕訳は、勘定科目ごと集計されていく事となり、勘定科目ごとに集計したものを「総勘定元帳」が出来上がります。

総勘定元帳に記載された勘定科目ごとに残高を転記したものが「試算表」を作成します。

なお、総勘定元帳も試算表も、一つ一つの仕訳を集計した結果であるため、会計ソフトを使って仕訳入力していけば、自然とこれらの帳票も作成されることになります。

決算整理仕訳をする

決算整理仕訳は、固定資産を所有していれば減価償却費を計上したり、飲食店や小売業などを営んでいれば品物在庫を計上したり、決算時に必要な取引を入力します。

なお、月次決算を行っている会社であれば月次ごとに決算整理仕訳を行う必要があります。

財務諸表(決算書)を作成する

決算整理仕訳を計上後、全ての勘定科目の残高をもとに、貸借対照表や損益計算書といった財務諸表(決算書)を最終的に作成していきます。

決算業務を行うためには、簿記を理解しておくべきか?

会社の経理を行うにあたり、簿記は理解しておくべきかどうかという点について、簿記を理解しておいた方が全体像や、自分の作業が何のためにしているのか理解できるので、簿記を理解しておいた方がおすすめです。

しかし、最近主流のクラウド会計ソフトは一度登録した科目を記憶するAI学習機能や自動仕訳機能もあるため、簿記の知識がなくても会計ソフトをうまく活用することができれば、仕訳入力を行う事は可能でもあります。

会計ソフトを活用するためのポイント

最近ではほとんどの会社において、会計ソフトを用いて仕訳入力と決算を行うこととなります。

会計ソフトへ日々の取引を仕訳入力する場合、効率的な入力を行う事で、作業時間の減少に繋がります。

ここでは会計ソフトへ効率的に入力する為のポイントをご紹介致します。

勘定科目を統一する為にルールを決めておく

社用車を所有している場合、ガソリン代などを経費計上する上で、「車両費」や「旅費交通費」などの勘定科目で処理をします。

勘定科目は会社が自由に決めて良い事になっておりますが、統一することで前期比較が出来たり、会計ソフトへ入力する担当者が変わっても、ルールを決めていれば入力時に悩むことありません。

データ連携を利用する

会計ソフトには、パソコンに直接インストールするような従来のインストール型と、インターネット上で会計ソフトを利用するクラウド型があります。

クラウド型の場合、銀行口座やクレジットカードを会計ソフトへ連携する事で、自動で日々の取引が会計ソフトへ入力される為、従来のような手入力を行う必要がないのでおすすめです。

月次推移表を利用して異常値や間違いがないかチェックする

年間の入力が完了し、毎月の各勘定科目に計上漏れがないか、極端に金額が多かったり少なかったりしていないか、といった異常値を探す場合、月次推移表を利用することをおすすめします。

月次推移表とは、全科目が月ごとに表示されている試算表のことであり、損益計算書の計上漏れや異常値を見つける上で非常に便利です。

補助科目を設定する

補助科目を設定すると、どこの取引先からいくら売上があるのか、多くの支払先がある場合に一目でどこの支払先にいくら支払ったかなどをすぐに確認することが出来ます。

残高の確認は全ての入力が完了した後に行う

取引の入力が全て完了した場合、最後に残高確認を行うことをおすすめします。

一つ一つの取引を入力して、残高確認をするのは非常に手間もかかり、作業時間も膨大になると考えられます。

そのため、全ての入力が終わった後に、各勘定科目の残高が正しい残高になっているか確認することをおすすめします。

まとめ

今回は一人バックオフィスや経営者といった経理業務が未経験の方へ向けた決算業務の基本全体像や会計ソフトの活用ポイントをご紹介しました。これから決算業務を行う方々への一助になれば幸いです。

Conduct

植西 祐介
税務会計事務所・社会保険労務士事務所コンダクト 代表、公認会計士/税理士/社会保険労務士