会計・税務

【忘れてませんか??】業務委託でも印紙の貼付は必要!?業務委託や請負業務で必要な印紙税について徹底解説!

仕事をする上で、法人や個人は契約書を取り交わす場面がありますが、実は、契約書を作成する上では契約書の内容次第では印紙を貼る必要があります。

今回は実務においてよく出てくる印紙添付が必要な文書について解説していきたいと思います。

印紙貼付が必要な文書

印紙を貼る必要がある契約書はどういったものがあるのか?

そもそも印紙とは、税金や手数料を納付したことを証明する国が発行する切手サイズの紙片です。

印紙は印紙税の課税文書に貼る事が必要であり、課税文書を作成した際、印紙税の納税義務が発生します。

印紙税の納税義務者は、課税文書を作成した者が印紙税の納税義務者となり、法人の場合には作成者でなく、法人自身が納税義務者となります。

印紙が必要なのは、印紙税法別表第一に規定されており、下記20種類の書類のいずれかに該当した場合には、印紙を貼る必要があります。

・国税庁 No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7140.htm

・国税庁 No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7141.htm

その中でも、実務上よく触れる、2号文書(請負契約)と7号文書(継続取引契約)についての理解は重要になります。

2号文書とは

2号文書とは「請負に関する契約書」の事を指します。

請負とは、仕事の完成に対して、相手方が報酬を支払うという契約の事を言います。

例として、建造物の工事が完成したことにより報酬を支払うようなものが挙げられます。

なお、完成すべき仕事について、有形や無形は問いません。

請負契約と似たものとして、委任契約があります。

委任とは、民法643条に、「当事者の一方が相手方に財産の売買、賃貸借などの法律行為を委託し、相手方がこれを承諾することにより成立する契約をいいます。」と、規定されています。

両者の違いとしては以下の通りです。

請負・仕事の完成が目的。・請負人は仕事を完成させなければ債務不履行責任を負う。
委任・一定の目的に従って事務処理する事が目的(仕事の完成は目的ではない)。・目的に従い、善良なる管理者の注意をもって委任事務を処理していれば、債務不履行責任を負うことはない。

7号文書とは

7号文書とは、「特定の相手方との間において継続的に生じる取引の基本となる契約書」のことを言います。

例として、継続して報酬を支払うような売買取引基本契約書が7号文書に該当します。

ただし、契約書に記載された契約期間が3ヶ月以内で、かつ、更新に関する定めのないものは除きます。

このような場合には、内容を確認し、その他の号に該当するかどうかを判断する必要があります。

2号文書と7号文書の違い

2号文書と7号文書はよく似ており、文書によってはいずれにも該当するものもあります。

そういった場合にどこで判断すべきかというと、文書に金額の記載があるかどうかで2号文書なのか7号文書なのか判断します。

例として、税理士法人との業務請負契約書が該当します。

上記契約書は、ほとんどのものに契約更新の記載があり、7号文書に該当すると考えられますが、決算書作成報酬による金額の記載がある場合には、2号文書に該当することになります。

このように2号文書と7号文書のどちらで判断すれば良いか迷う場合には、貼り付けるべき印紙の金額が低い方で考えて良いとされるため、一般的には2号文書として取り扱うケースが多いです。

このような取り扱いは、国税庁の「2以上の号に該当する文書の所属の決定」に規定されています。

・国税庁 2以上の号に該当する文書の所属の決定

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/01/01.htm

印紙のよくある間違い

印紙税で誤りの多い事例としては以下のような内容が挙げられます。

文書の名称で判断しているケース

契約書と言う名称であれば、税物件表に該当するものがなくても、とりあえず200円の収入印紙を貼り、覚書等の文書については契約書ではないため、不課税文書として判断している。

課税文書の判断を誤っているケース

2号文書と7号文書のいずれにも該当した場合、契約金額の記載があるかどうかなどは判断せず、基本契約としてすべて7号文書に該当すると判断している。

申込書や注文書等は全て不課税文書と認識しているケース

基本契約に基づく申し込みであることの記載があり、一方の申し込みにより自動的に成立することとされていたが、あくまでも申し込みであり、契約者候補の署名がないので、課税文書には該当しないと判断している。

まとめ

今回は印紙税にスポットを当てて、何で判断するのか、いずれにも該当した場合にはいくらの収入印紙を貼ればいいのかを紹介しました。

印紙については、日々の業務を進めていく上で必ず必要な場面が出てきます。

こういった場合に、誤った印紙を貼らないように本記事が参考になれば幸いです。

何かご不明な点がございましたら是非弊社へお問い合わせ下さいませ。

Conduct

植西 祐介
税務会計事務所・社会保険労務士事務所コンダクト 代表、公認会計士/税理士/社会保険労務士