法人の顧問社労士は何をしてくれるの?業務内容や依頼すべきタイミングについて解説
以前の記事では、顧問契約をしたら税理士は何をしてくれるのか?について解説しました。
本記事では、社会保険労務士はいつ雇えばいいのか?であったり、顧問契約をすると何をしてくれるのか?について具体的に解説します。
労務関連の相談対応
どの社労士に依頼しても基本的に顧問契約のスコープに含まれるのが労務関連の相談対応です。
顧問契約をしていると、
- 従業員と給与についてトラブルがあった
- 従業員から労基法関連の質問があった
- 作成した雇用契約書の内容に不安がある
などの場合に労務のプロである社労士に相談することができます。
労務トラブルは急に発生するケースがほとんどですので、レスポンスが良くトラブル発生時にチャットやメール・電話などですぐに相談できる社労士と顧問契約していると安心です。
労務関連の手続き
従業員が入退社した際の手続き、毎年発生する労働保険の年度更新・社会保険の定時決定、産休・育休関係の手続きなど、社内で対応するには煩雑な手続きも依頼することができます。
特に年に一度しかない年度更新・定時決定や法改正の多い産休・育休関連の手続きについては社内で最新情報をキャッチアップすることは難しいため、社労士に依頼することで工数の削減に繋がります。
最近は電子申請に対応している社労士がほとんどで、手続き完了後の通知書も紙ではなくデータで受け取ることができ、管理も容易になります。
給与計算
毎月の給与計算についても社労士に依頼することができます。
給与計算は煩雑で時間もかかり、従業員の収入に直接つながるためミスが許されない業務です。
そのため社労士に依頼するメリットが大きい業務の一つです。
クラウド給与に対応した社労士であれば、リアルタイムに給与計算結果を確認できたり、過去データもクラウド上に蓄積されているものを会社側でも確認できます。
給与計算システム・給与計算システムと連携できる勤怠システムの導入・初期設定についても社労士に依頼することでスムーズに対応が可能です。
法改正などの情報共有
近年の働き方改革の影響もあり、労働関係の法律は改正頻度が多く最新情報をキャッチアップするのは困難です。
チャットやメール、訪問等の方法は社労士により異なりますが、顧問契約をしていることで法改正の情報も社労士から提供してもらうことができます。
顧問料金とは別料金になることが多いサービス
以下は顧問料とは別料金となるケースが多いですが、社労士に依頼できる業務はまだまだあります。
就業規則の作成
会社の根幹ルールとなる就業規則については、ネットに公開されている雛形で作成することもできますがそれだけではリスクが大きいです。
社労士に依頼することで、法律に則ったうえで自社の実態にあったオーダーメイドの就業規則を作成することが可能です。
助成金の申請を希望している場合も、助成金の支給要件を満たす就業規則を作成することができます。
作成費用は数万円〜50万円程度と、社労士により大きく幅があります。
助成金の申請
「キャリアアップ助成金」「人材開発助成金」など、助成金の申請は社労士の独占業務です。
社労士でない業者から助成金申請の営業が来ることもあるかと思いますが、社労士以外に依頼することは法律違反になるため要注意です。
不正受給防止の観点から顧問先限定で助成金申請を請け負うケースが少なくないですが、中には助成金申請を専門にしている社労士もいるので、ニーズに合わせて依頼すると良いでしょう。
人事評価制度や福利厚生制度の設計
人事関連にも強い社労士事務所であれば、人事評価制度や福利厚生制度の設計についても社労士に相談することができます。
顧問社労士はいつ契約をすればよいのか?
顧問社労士を雇うかのタイミングは、上述の労務対応が多くなるタイミングと等しくなります。
より具体的には、10名程度を超える手前の段階がそのタイミングで検討を始める会社が多い傾向にあります。
10名というのは、例えば就業規則作成の義務化のボーダーであったり、この人数を超えると労務対応が顕著になります。
また、スタートアップのように上場を目指したり、M&Aを目標にする場合は、労務リスクの管理が出来ていないと企業価値の低下を招くので、2~5名規模でも顧問社労士を雇うケースも多くあります。
顧問社労士を雇わないままでも会社経営は進められる?
顧問社労士を雇わないでも、経営活動を進められる条件はいくつかあります。
- 10名を超えない規模で、従業員の増減も少ない
- 勤怠や給与計算、労務管理全体がシンプルで、労務リスクが少ない業種や事業である
- 社内に、社労士資格者や労務経験の豊富な従業員がいる
これらの条件をいくつか満たす場合には、顧問社労士を雇わずとも、労務リスクを低く抑えて、効率的に経営ができる可能性があります。
一方、これらの条件を満たさない場合、専門家を雇わずそのままにしていると、労務訴訟や労働基準監督署等の当局からの指摘を受けて、事業継続のリスクに晒されることが大いに考えられるの注意しましょう。
まとめ
税理士と比べて知名度が低く何をしてくれるのかイメージが沸きづらい社労士ですが、上記のように労務関連のプロであり、相談・手続きから助成金申請、就業規則の作成まで依頼することができます。
従業員が増え自社での対応が難しくなってきた、従業員と労務関連のトラブルがあった等のタイミングで社労士との顧問契約についてぜひ検討してみてください。