最低賃金・2024年の引き上げ額は?日給・月給の場合に最低賃金以上かを確認する方法も解説!
最低賃金には、都道府県ごとに定められる「地域別最低賃金」と特定の産業ごとに設定されている「特定(産業別)最低賃金」があります。
一般的に適用されるのは地域別最低賃金で、毎年金額が見直され、10月1日から順次適用されます。
また、最低賃金を下回る雇用契約はその部分が無効となるうえ、違反には50万円の罰金が課せられる規定も。
本記事では、時給・日給・月給それぞれについて最低賃金以上の給与を支給できているか確認する方法も解説します。
最低賃金2024年度改定のポイント
2024年度地域別最低賃金
2024年度の地域別最低賃金は以下の通りです。
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001297510.pdf
改定後の全国加重平均額は1,055円に
各都道府県で50円~84円引き上げられ、全国加重平均額は1,055円(昨年度は1,004円)と51円引き上げられました。
引き上げ額が最も高かったのは徳島県(84円)です。
全国加重平均額51円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額です。
給与額が最低賃金以上かどうかを確認する方法
時給制の場合
時給の場合は単純に、時給が最低賃金を上回っているかどうかを確認します。
日給制の場合
日給÷1日の所定労働時間が最低賃金を上回っているかどうかを確認します。
例)
日給8,000円、1日の所定労働時間が8時間の場合 8,000÷8=1,000
1,000≧最低賃金であれば最低賃金以上の給与が支給できていることになります。
月給制の場合
(月給−最低賃金の計算に含まれない手当)÷月の所定労働時間が最低賃金を上回っているかどうかを確認します。
★最低賃金の計算に含まれない手当とは?
以下のような手当は最低賃金の計算に含まれません。
- 通勤手当
- 家族手当
- 精皆勤手当
- 時間外・休日・深夜割増手当
- 固定残業手当
- 結婚手当等の臨時に支払われる賃金
- 賞与
家族手当・精皆勤手当・固定残業手当は基本的に毎月同額が支給されるため、誤って計算に含めてしまいがちなので注意が必要です。
例)
・基本給150,000円
・職務手当30,000円
・固定残業手当40,000円
・通勤手当15,000円
・月所定労働時間:160時間
という場合、最低賃金の計算に含まれるのは基本給と職務手当(150,000円+30,000円=180,000円)です。
180,000÷160=1,125
1,125≧最低賃金であれば最低賃金以上の給与が支給できていることになります。
★月の所定労働時間の算出方法は?
月の所定労働時間は、「年間労働日数×1日の所定労働時間÷12ヶ月」で計算します。
例)
年間休日120日・1日の所定労働時間が8時間の場合
年間労働日数は365-120=245日 245日×8時間÷12ヶ月=163.3時間
歩合給制の場合
歩合によって計算された賃金の総額÷歩合制によって労働した月の総労働時間数が最低賃金を上回っているかどうかを確認します。
例)
①完全歩合給制の場合
- 歩合給168,000円+時間外手当6,300円(30時間分)+深夜割増手当3,150円(15時間分)を支給、
- 月所定労働時間170時間
という場合、最低賃金の計算に含まれるのは歩合給168,000円です。
労働時間は所定労働時間170時間+残業時間30時間のため、168,000円÷200時間=840円
840≧最低賃金であれば最低賃金以上の給与が支給できていることになります。
時間外手当は最低賃金の計算に含まれませんが、月の総労働時間数には時間外勤務の30時間も含む点に要注意です。
②固定給と歩合給が併給される場合
- 固定給136,000円+歩合給50,000円
- 固定給に対する時間外手当が30,000円(30時間分)、固定給に対する深夜割増手当が3,000円(15時間分)
- 歩合給に対する時間外手当が1,875円(30時間分)、歩合給に対する深夜割増手当が938円(15時間分)
- 月所定労働時間170時間
という場合、最低賃金額以上となっているかどうかは次のように調べます。
- 固定給÷1箇月平均所定労働時間で時間当たりの金額に換算すると、136,000円÷170時間=800円
- 歩合給÷月間総労働時間数で時間当たりの金額に換算すると、50,000円÷200時間=250円
- 固定給の時間換算額と歩合給の時間換算額を合計すると、800円+250円=1,050円
1,050≧最低賃金であれば最低賃金以上の給与が支給できていることになります。
時間外手当は最低賃金の計算に含まれませんが、歩合給の時給換算額の計算においては、月の総労働時間数には時間外勤務の30時間も含む点に要注意です。
最低賃金についてのよくある質問・ご相談
派遣の場合は派遣元・派遣先どちらの最低賃金が適用される?
派遣労働者については、派遣先の都道府県の最低賃金が適用されます。
最低賃金に合わせてパートの時給を決めると正社員の時間単価を超えてしまう
正社員の時間単価を超えてしまう場合でも、パートの時給を最低賃金以下にすることはできません。
既存の正社員・パートの従業員との給与額のバランスを保つため、賃金制度の設計を見直したい場合はぜひご相談ください。
高校生アルバイトや使用期間中スタッフにも最低賃金は適用される?
年齢や雇用形態にかかわらず最低賃金は適用されます。
最低賃金と同額となるように月給を支給したい
最低賃金と同額となるように月給を支給したい場合、「都道府県の最低賃金額×年間所定労働日数×1日の所定労働日数÷12ヶ月」で算出することができます。
例)
- 東京都(最低賃金1,163円)
- 年間所定労働日数:240日
- 1日の所定労働日数:8時間
という場合、1163円×240日×8時間÷12ヶ月=186,080円
186,080円以上支給していれば最低賃金以上の給与が支給できていることになります。
まとめ
時給の場合は気づきやすいですが、月給・日給・歩合給の場合は気づかない間に最低賃金を下回ってしまっているという可能性も。
この機会に最低賃金を下回っていないか確認しておきましょう。