会計・税務

法人税ってどんなもの?法人にかかる税金をまとめて基本解説!

法人として事業活動を進める上で、どういった税金を納める必要があるのか把握している人は少ないように思います。

決算時に納税資金が足りないなんて事を避ける為にも、事前にどういった税金をいくら納める必要があるか把握しておく必要があります。

今回は、法人にかかる税金には何があるのか紹介したいと思います。

法人にかかる税金の種類

まず税金の基本理解として、税金は国に納める「国税」と、各自治体へ納める「地方税」の2種類が挙げられます。

決算時において納める必要がある税金は国税と地方税に分けると以下の通りです。

国税法人税及び地方法人税、消費税及び地方消費税
地方税法人事業税、特別法人事業税、法人住民税

以下ではそれぞれの税金について、どういったものか解説していきます。

国税の種類

法人税及び地方法人税

法人税及び地方法人税(以下「法人税」と言います。)は、法人が商品の販売やサービスを行った事により得た儲けである「所得」に対して課せられる税金になります。

似たようなものとして、個人に対して課せられる所得税が挙げられますが、法人税との違いは、所得税は所得の金額が多ければ多いほど税率が上がる累進課税が適用されているのに対して、法人税は所得の金額に関わらず一定である比例税率を適用しています。

この税率の違いによって、所得が多くなればなるほど法人成りをした方が節税に繋がります。

消費税及び地方消費税

消費税及び地方消費税(以下「消費税」と言います。)は、商品の販売やサービスの提供に対して課される税金であり、所得に対して課される法人税とは違い、物の購入やサービスの提供受けるなど、消費行動に対して課される税金です。

したがって、幅広い年齢層に公平に課税されるものになります。

なお、消費税の納税義務者の基本的な考え方は、2年前の課税期間における売上高が1,000万円を超えている場合に納税義務者になります。

ただし、令和5年10月より開始したインボイス制度における適格請求書発行事業者に登録した場合には、上記判定に関わらず、消費税の納税義務者に該当します。

地方税の種類

法人事業税及び特別法人事業税

法人事業税とは、法人が事業活動を行うにあたり、道路など各自治体による様々なサービスを利用します。

法人事業税とは、これらのサービスを維持する為に課される税金であり、法人が所在する都道府県に対して納める地方税になります。

なお、特別法人事業税は法人事業税の一部であり、平成31年度の税制改正により、都心部に税収が集中する課題に対応する為に創設された税金になります。

法人住民税

法人住民税とは、法人が所在している都道府県などの自治体へ納める地方税になります。

法人住民税は法人税割と均等割という税金から構成されています。

法人税割は、法人税額を課税標準としており、資本金が1億円超であるか、法人税額が1,000万円超であるか、といった基準により超過税率か標準税率になるのか税率が異なります。

法人税割の詳細な内容は下記をご参照ください。

※東京都主税局:<税金の種類><法人事業税・法人都民税> 参照

https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/houjinji.html#ho_02_02

均等割は、主たる事務所が所在する自治体や資本金等の額や従業員数によって税額が異なります。

※東京都主税局:<税金の種類><法人事業税・法人都民税> 参照

https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shomei/houjin/6-4-3b.pdf

ペナルティとして発生する税金

これまで説明した通常納付すべき法人税とは異なり、法人税申告書の提出漏れや法人税の納付が期限内に行われなかったり、期限内に申告書の提出は済んでいるが納付税額が少なかったりする場合、別途ペナルティが課されます。

このペナルティを「附帯税」と言います。

附帯税は、申告書を期限内に提出しなかった場合に課される「加算税」と、納付税額を期限内に納めなかった場合に課される「延滞税」に分けられます。

附帯税の種類

附帯税は下記内容が挙げられます。

無申告加算税法人税申告書を提出期限までに提出しなかった場合に課される附帯税になります。無申告加算税は、納付すべき税額の50万円までの部分については15%、50万円を超える部分については20%の割合で課されます。
過小申告加算税法人税申告書を提出期限までに提出はしたが、申告書に記載された税額が本来納付すべき税額に比べて過少であった場合に課される附帯税です。過小申告加算税は、追加で納付することとなった税額の10%の割合で課されます。ただし、追加で納付する税額が、当初の申告での納税額と50万円とのいずれか多い方の金額を超えている場合には、その超えた部分については15%の割合で課されます。
重加算税法人税額を計算するにあたり、本来の事実に対して、仮装、隠ぺいを行い、事実とは異なる内容で過少申告や無申告を行った場合に課される附帯税です。重加算税は課される割合が最も高く、過少申告の場合には追加税額の35%、無申告の場合には納付すべき税額の40%の割合で課されます。
延滞税納付期限までに納付をしなかった場合に課される附帯税です。税率は毎年変動し、令和6年中については7.3%になります。ただし、納期限の翌日から2ヶ月を経過した日以後の税率は14.6%となります。延滞税の計算は、納付されていない税額に対して、納期限の翌日から納付するまでの日数に応じて計算されます。

まとめ

今回は法人に課される税金について解説しました。

通常通りに事業活動を進めていく上で、法人税だけでなく、地方税や消費税を納める可能性もあります。

期限内に申告書の提出をしなかったり、税金を納めなかった場合には、ペナルティとして附帯税も納める事になる為、余計な支出を避ける為にも期限内に申告書の提出や納税を行うようにしましょう。

Conduct

植西 祐介
税務会計事務所・社会保険労務士事務所コンダクト 代表、公認会計士/税理士/社会保険労務士