節税

船舶オーナー必見!中小企業投資促進税制でかしこく節税する方法

船舶を所有する中小企業の経営者の皆様、「中小企業投資促進税制」という制度をご存知でしょうか? この制度を活用することで、船舶の取得費用の一部を法人税から控除でき、大きな節税効果が期待できます。 今回は、船舶オーナーの皆様に特化して、このお得な制度を分かりやすく解説します。

中小企業投資促進税制とは?

中小企業の設備投資を後押しし、生産性を向上させることを目的とした税制優遇制度です。

青色申告書を提出している中小企業が、新品の機械装置や船舶などを取得した場合に、「特別償却」または「税額控除」のいずれかの適用を受けることができます。

制度の対象となる法人

この制度を利用できるのは、青色申告書を提出している以下のような法人です。

  • 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人
  • 資本または出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人

税額控除の対象となる法人

税額控除を選択できるのは、上記のうち資本金の額または出資金の額が3,000万円以下の法人などです。

船舶も対象!具体的なメリット

この制度の大きな特徴は、内航海運業の用に供される船舶も対象資産に含まれている点です。

船舶の取得には多額の資金が必要となりますが、この制度を上手く活用することで、投資負担を大幅に軽減できます。

船舶の取得で受けられる2つの税制措置

特別償却30%

取得価額の30%を、通常の減価償却費に上乗せして経費として計上できます。

例えば、1,000万円の機械設備を取得した場合、初年度に300万円を追加で経費計上できるため、その分課税所得を圧縮し、法人税の支払いを繰り延べることができます。

ただし、船舶の場合、取得価額の75%に相当する金額の30%を、通常の減価償却費に上乗せして経費計上することができます。

例えば、1億円の船舶を取得した場合、取得価額1億円の75%である7,500万円の、さらに30%にあたる2,250万円を追加で経費計上することができます。

これにより課税所得を圧縮し、法人税の支払いを繰り延べることができます。

税額控除7%

取得価額の7%を、納付すべき法人税額から直接差し引くことができます。

例えば、1億円の船舶を取得した場合、700万円を法人税額から直接控除できます。

ただし、控除できる金額は、その事業年度の調整前法人税額の20%が上限となります。

どちらを選ぶべき?特別償却と税額控除

①特別償却

今期の利益を圧縮し、納税額を将来に繰り延べたい場合に有効です。

キャッシュフローを改善する効果も期待できます。

②税額控除

支払う税金そのものを減らしたい場合に有効です。

節税効果が直接的で分かりやすいのが特徴です。

どちらの制度が有利になるかは、会社の利益状況や資金繰りによって異なります。

税理士などの専門家と相談の上、最適な方法を選択しましょう。

制度利用の注意点

適用期間

この制度は、令和7年3月31日までの取得が対象です。

船舶の購入を検討している場合は、早めに計画を立てましょう。

新品の船舶であること

新品の船舶が対象であり、中古の船舶は対象外です。

なお、内航海運業に使用されている船舶に該当します。

さらに、500トン以上の船舶の場合、環境への負荷の低減に資する設備の設置状況等を国土交通大臣に届け出た船舶に限られます。

専門家への相談

制度の適用には、確定申告書への明細書の添付など、一定の手続きが必要です。

適用要件や手続きの詳細については、必ず税理士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けるようにしてください。

まとめ

中小企業投資促進税制は、船舶という高額な投資を行う海運事業者にとって、非常にメリットの大きい制度です。

この制度を最大限に活用し、賢く節税しながら、事業の成長へと繋げていきましょう。

Conduct

植西 祐介
コンダクトグループ(株式会社コンダクト/税理士法人コンダクト/社会保険労務士法人コンダクト) 代表、公認会計士/税理士/社会保険労務士