【ルールと手続を理解して導入しよう!】フレックスタイム制のメリット・デメリット・注意点をわかりやすく解説!
エンジニア、WEBディレクター、デザイナー、コンサルタント等の職種で取り入れられることが多いフレックスタイム制。
ベンチャー・スタートアップでもフレックスタイム制をとる企業は少なくありません。
本記事では、フレックスタイム制の仕組みや導入する際の注意点、よくある質問についてまとめました。
フレックスタイム制
フレックスタイム制とは
フレックスタイム制は、一定の期間についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲で日々の始業・終業時間を労働者が自由に決定できる制度です。
コアタイム・フレキシブルタイム
フレックスタイム制の場合での必ず出勤してほしい時間については「コアタイム」を設定することができます。
また、始業・終業時間を自由に決定できる時間帯を「フレキシブルタイム」といいます。
フレキシブルタイムの途中には中抜けすることも認められます。
引用:https://www.mhlw.go.jp/content/001140964.pdf
例)
- コアタイム:11時〜15時
- フレキシブルタイム:7時〜22時
という規定の場合、従業員は7時〜11時の間に出勤し、15時〜22時の間に退勤することとなります。
7時〜11時、15時〜22時の間は中抜けすることもできます。
総労働時間
フレックスタイム制における総労働時間とは、労働契約上、労働者が清算期間(1〜3ヶ月。詳しくは後述します)において労働すべき時間として定められた時間であり、いわゆる所定労働時間のことをいいます。
通常の労働時間制では所定労働時間は日ごとに定められますが、フレックスタイム制では1〜3ヶ月単位で定められるということです。
月単位の清算期間とした場合の法定労働時間の総枠の上限は以下のように定められています。
引用:https://www.mhlw.go.jp/content/001140964.pdf
ただし、完全週休2日制である場合のみ特例として「清算期間内の所定労働⽇数×8時間」を総労働時間の限度とすることが可能です。(労使協定での定めが必要)
精算期間
清算期間とは、フレックスタイム制において労働者が労働すべき時間(総労働時間)を定める期間のことです。
労働者は精算期間の中で総労働時間に達するよう、調整しながら勤務します。
精算期間は以前は1ヶ月とされていましたが、現在では3ヶ月を上限に月をまたぐことも認められています。
精算期間が1ヶ月を超える場合
清算期間が1ヵ月を超える場合、総労働時間と実労働時間の過不足は、下図のように月をまたいで処理できます。
引用:https://www.mhlw.go.jp/content/001140964.pdf
1ヶ月ごとの総労働時間より実労働時間が長かったときも、以下のどちらも満たす場合は、残業には当たらず、清算期間内での調整が可能です。
- 複数月の労働時間が、平均週40時間以内
- 1ヵ月ごとの労働時間が週平均50時間以内
例えば実労働時間が、
- 1ヵ月目は週平均48時間
- 2ヵ月目は週平均34時間
- 3ヵ月目も週平均38時間
という場合、3ヵ月の平均が40時間となるため、残業代は発生しません。
また、総労働時間より実労働時間が短くなってしまった場合でも、複数月内で相殺ができるため、控除するかどうかは精算期間の終わりに判断します。
フレックスタイム制を導入するメリット・デメリットは?
会社側のメリット・デメリット
・採用市場でのアピールになる
・勤務時間帯にとらわれず優秀な人材を確保できる
・離職率の低減につながる
・従業員のモチベーションが向上する
・勤怠管理が難しい
・社内でのコミュニケーション不足が生じる
・クライアントコミュニケーションに支障が出る
会社側のデメリットを低減する方法
会社側のデメリットを低減する方法としては、以下のようなものが考えられます。
フレックスタイム制に対応した勤怠管理システムの導入
フレックスタイム制では勤怠管理が複雑になり、管理が煩雑になります。
勤怠管理のミスによる残業代未払いを防ぐためにも、フレックスタイム制に対応したソフトを使用することがおすすめです。
チャットなどの電話・メール以外のコミュニケーションツールの導入
リアルタイムで対応しなければならない電話や会社のPCでしか使用できないメールだけでなく、スマホで使用できるチャットツールも合わせて活用することで社内メンバーやクライアントとのコミュニケーションを円滑にすることができます。
コアタイムを設定する
- クライアントからの問い合わせが多い時間帯
- 社内ミーティングのある曜日や時間
など必ず出勤してほしい時間帯をコアタイムに設定することも有効です。
従業員のメリット・デメリット
・通院や役所の手続きなど平日にしかできないことができる
・通勤ラッシュを避けられる
・育児や勉強、副業との両立ができる
・出勤前、退勤後に仕事の連絡がくる
・わからないことをすぐに聞けない
従業員のデメリットを低減する方法
社内コミュニケーションのルールを制定する
退勤後の連絡や、担当者不在時の質問など事前にルールを決めておく必要があります。
- 退勤後もチャットを送ってもいいが返信は強要しない 等
フレックスタイム制導入の方法・注意点
就業規則での規定・労使協定の締結が必要
フレックスタイム制の導入には以下の手続きが必要です。
これらの手続・届出を忘れたまま導入している会社も多いので十分気を付けましょう。
- 就業規則にてフレックスタイム制について規定する
- 従業員代表と労使協定を締結する
就業規則にて定める内容
少なくとも、「始業・終業の時刻を労働者の自主的な決定に委ねる」旨の記載が必要です。
詳細については省略し「労使協定において定める」とすることもできます。
労使協定にて定める内容
- 対象となる労働者の範囲
- 精算期間
- 精算期間における総労働時間
- 標準となる1日の労働時間
- コアタイム(任意)
- フレキシブルタイム(任意)
精算期間が1ヶ月を超える労使協定は届出必要
精算期間が1ヶ月を超える場合のみ、労使協定は労働基準監督署に届け出る必要があります。
1ヶ月以内の場合は届出は不要です。
フレックスタイム制導入時によくある質問
フレックスタイム制でも勤怠管理は必要?
フレックスタイム制においても勤怠管理は法律で義務付けられています。
フレックスタイム制なら深夜の割増は必要ない?
フレックスタイム制においても深夜(22時〜翌5時)に勤務した場合には深夜割増が必要です。
深夜割増を正しく支給するためにも勤怠は管理する必要があります。
毎週月曜日に会議があるので月曜日だけコアタイムを設けたい
一定の曜日や対象者にだけコアタイムを設けることも可能です。
- 曜日によってコアタイムがある日、ない日がある
- 曜日によってコアタイムの時間帯が違う
- 職種によってコアタイムあり、なしが異なる
ということも可能ですので、会社の実態にあわせて労使協定で定める内容を検討しましょう。
欠勤があれば控除しても良い?
休日まで自由に選択できるフレックスタイム制でない場合は欠勤控除が可能です。
また、皆勤手当の支給についても欠勤があったことにより不支給とすることもできます。
上記の計算方法については就業規則で定める必要があります。
有給を取った場合はどうなる?
フレックスタイム制の労働者が有給を取得した場合は、その日については、標準となる1日の労働時間を労働したものとして取り扱います。
例)1日の標準労働時間が8時間の場合=8時間勤務したものとして取り扱う
まとめ
フレックスタイム制はうまく活用できれば会社、従業員の双方にとってメリットの大きい制度です。
導入時の手続きや勤怠管理についてお悩みの際はぜひご相談ください。