【個人事業主は必見】社会保険の任意適用手続きの流れ・添付書類を徹底解説!
社会保険に加入しなくても良い事業があることをご存じでしょうか?
- 法人(一人法人の場合も含む)
- 常時5人以上の従業員が働いている事業所、工場、商店等の個人事業所
については、社会保険が強制適用となります。
一方で、上記以外の個人事業所については社会保険の対象外(国民年金・国民健康保険に加入)ですが、例外的に「任意適用」の申請が認められた場合は社会保険に加入することが可能です。
任意適用の際は強制適用事業所の社会保険の加入とは違い、多くの添付資料が必要で手続きが煩雑になります。
本記事では、社会保険の任意適用について手続きの流れ、添付書類の注意点を詳しく解説しています。
任意適用の手続き①従業員の1/2以上の同意を得る
任意適用の申請をするには従業員の1/2以上の同意を得る必要があります。
同意書のフォーマットは年金事務所のホームページからダウンロードすることができますが、任意の様式でも問題ありません。
ダウンロードはこちら▶︎https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20150310.files/02_1.pdf
なお、認可を受けた場合は、反対した人も含め従業員全員が社会保険に加入することになります。
任意適用の手続き②申請書類を年金事務所に送付
提出先は管轄の年金事務所
申請書類の提出先は事業所の管轄年金事務所です。
提出方法は窓口持参・郵送・電子申請
申請書類の提出は、
- 窓口持参
- 郵送
- 電子申請
いずれの方法でも可能です。
ただし従業員の同意書については原本の提出が必要となるので電子申請をした場合も別途郵送する必要があります。
申請書類・添付書類一覧
申請書 | 健康保険厚生年金保険 任意適用申請書 |
添付書類 | ・任意適用同意書 ・事業主の世帯全員の住民票(原本) ・公租公課の領収書(コピー) ・加入対象者の資格取得届 |
申請書の記載方法
事業主記入欄 | 初めて加入する場合は事業所整理記号・番号は空欄で提出します (電子申請の場合は99999などのダミー番号を入力) |
①事業主氏名 | 住民票通りに氏名を記入します |
②問合せ先担当者名 | 事業主以外に任意適用についての担当者がいる場合は記入します |
③事業主住所 | 住民票通りに住所を記入します |
④⑤事業主代理人 | 自社で提出する場合は空欄で提出します |
⑥業態区分 | 「事業所業態分類票」から当てはまる番号を記入します |
⑦社会保険労務士名 | 自社で提出する場合は空欄で提出します |
⑧健康保険組合名称 | 健康保険組合に加入している場合は名称を記入します |
⑨厚生年金基金番号 | 厚生年金基金に加入している場合は番号を記入します |
⑩給与計算の締切日 | 月末締めの場合は「31日」と記入します |
11 昇給月 | 毎年の昇給月が決まっている場合は記入します |
12 算定基礎届媒体作成 | 「必要」を選ぶと提出時期が近づくと従業員情報があらかじめ入力されたものが送付されます。自社で作成できる場合は「不要」を選びます |
13 給与支払日 | 月末払いの場合は「31日」と記入します |
14 賞与支払予定月 | 毎年の賞与支給月が決まっている場合は記入します |
15 賞与支払届媒体作成 | 「必要」を選ぶと提出時期が近づくと従業員情報があらかじめ入力されたものが送付されます。自社で作成できる場合は「不要」を選びま |
16 給与形態 | 支給している形態をすべて選択します |
17 諸手当の種類 | 支給している手当をすべて選択します |
18 現物給与の種類 | 現物給与を支給している場合は記入します |
19 従業員情報 | 従業員情報を入力します |
20 所定労働日数・時間 | 正社員の1月あたりの所定労働日数・1週あたりの所定労働時間を記入します |
21 備考 | 何もなければ空欄で提出します |
添付書類についての注意点
◆ 任意適用同意書
- 電子申請した場合も原本の郵送が必要です
(申請先の都道府県の電子申請事務センター宛に郵送)
▶︎ 事務センター一覧はこちら - 原本は返送されないため、社内の控えが欲しい場合はコピーをとっておきましょう
◆ 事業主の世帯全員の住民票(原本)
- マイナンバーの記載がないもの
- 電子申請の場合はPDFの添付でOKです
◆ 公租公課の領収書(コピー)
- 所得税(国税)、事業税(道府県税)、市町村民税(市町村税)、国民年金保険料、国民健康保険料の6種類全てが必要です
- e-tax、el-taxを使用していて領収書がない場合は申告した際の控えを提出します
- 市町村民税の領収書がない場合は代わりに納税証明書を添付します
- 事業主が別会社で社会保険に加入していて国保・国民年金に入っていない場合 は任意様式の申立書を添付します
- 事業開始直後で事業税の納付がまだの場合は会社の資力確認のため直近3ヶ月分の通帳の写しを提出します
・名義がわかるページも必要
・紙の通帳がない場合は画面のスクリーンショット等でOK
・銀行のシステム上出力できる期間が限られる場合はその旨をメモ書きで添付
用意できないものがある場合は他の書類で代用できないか年金事務所に直接ご相談ください。
◆ 加入対象者の資格取得届
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/hihokensha/20140718.files/0000002415.pdf
- 電子申請の場合事業所番号は99999などのダミー番号で申請します
- 備考に「任意適用申請中」と入れておくと伝わりやすいです
任意適用の注意点
任意適用しても事業主は社会保険に加入できない
社会保険に任意加入した場合も事業主、事業主と同一住所の家族従業員は加入できません。
希望日から加入できるわけではない
任意適用の場合、希望日から加入できるわけではなく厚生労働大臣の認可を受けたタイミングで社会保険に加入することとなります。
申請手続きが長引いたりすると予定していたより大幅に遅れる恐れもあるため従業員には事前にアナウンスしておきましょう。
適用より脱退のハードルが高い
一度社会保険に加入すると脱退の際は従業員の3/4以上の同意が必要となり、加入よりもハードルが上がります。
任意適用の申請をする際は従業員と相談のうえ慎重に検討しましょう。
任意適用についてのよくある質問
会社・従業員それぞれにとって任意適用するメリットは?
◆ 会社のメリット
社会保険の加入による福利厚生の充実が会社にとってのメリットです。
採用面でも「社会保険完備」と記載できるようになるため、きちんとした会社であるという印象を与えることができます。
◆ 従業員のメリット
国民健康保険・国民年金は保険料が全額負担ですが、保険料が労使折半になるため負担が減るのが最大のメリットです。
また、傷病手当金、出産手当金など国民健康保険にはない保障を受けられるようになります。
「常時5人以上の従業員」にはアルバイト・パートも含む?
「常時5人以上の従業員」には短時間のアルバイト・パートは含まれません。
対象となるのは
- 正社員
- 週および月の所定労働時間・日数が正社員の3/4以上となるアルバイト・パート
=社会保険の加入対象となる者のみです。
まとめ
提出先 | 事業所の管轄年金事務所 |
提出方法 | 窓口持参・郵送・電子申請 |
申請書 | 健康保険厚生年金保険 任意適用申請書 |
添付書類 | ・任意適用同意書 ・事業主の世帯全員の住民票(原本) ・公租公課の領収書(コピー) ・加入対象者の資格取得届 |
社会保険の任意適用手続きは煩雑で時間もかかります。
自社で行うことも可能ですが、お困りごとがあればお気軽にご相談ください。