【労務】一人社長が初めて従業員を雇ったら何をする?保険関係・労基法周りのすべきことまとめ
本記事では、一人社長が初めて従業員を雇った時にするべき労務関連の法定業務をまとめました。
新年度に合わせて従業員が入社した企業では漏れがないか一度確認してみてください。
労働条件通知書・雇用契約書の作成
従業員を雇い入れる際には労働条件を通知することが労基法上義務付けられています。
通知すべき事項は法律で定められており、漏れなく通知する必要があります。
雇用契約書の作成は義務ではありませんが、トラブルを防ぐため締結しておきましょう。
社会保険の加入(まだであれば新規適用)
入社する従業員の週所定労働時間が30時間以上の場合には社会保険の加入が必要です。
役員報酬が発生していない場合など、これまで社会保険に加入していなかった場合は会社の新規適用手続きも必要となります。
新規適用の手続きから行う場合は審査に時間がかかるため、保険証の発行が遅れる旨を先に伝えておくと良いかと思います。
資格取得時の標準報酬月額には基本給だけでなく固定残業手当・通勤費なども含む点に注意が必要です。
加入手続きが完了し、発行された保険証は会社に届きます。
労働保険・雇用保険の新規適用
ひとり社長の時は不要でしたが、従業員を雇うとなると労働保険(労災保険)・雇用保険への加入も必要となります。
雇用保険に加入するのは従業員の週所定労働時間が20時間以上の場合ですが、労災保険は労働時間にかかわらず必ず加入します。
労働保険への加入は監督署へ、雇用保険への加入はハローワークへ、それぞれ必要な書類を提出して行います。
労災保険・雇用保険の保険料は社会保険と違い毎月納付するものではなく、1年分をまとめて納付します。
具体的にいうと、加入時には加入年度の概算保険料を納付し、毎年の「年度更新」の時期に確定した保険料を精算します。
ただし雇用保険料の従業員負担分は従業員の毎月の給与から控除して徴収する必要があるので要注意です。(労災保険料は会社負担のみで従業員の負担はありません)
36協定の作成・届出
従業員に1秒でも残業をさせる場合は従業員との36協定の締結・監督署への届出が義務付けられています。
残業がほぼない会社でも、1秒も残業しないということは難しいため、初めての従業員が入社したときに締結しておくと安心です。
36協定の様式は厚労省のホームページからダウンロードすることができます。
勤怠システムの導入
従業員の勤怠をつけ、出勤簿を保存することは労基法上の会社の義務です。
勤怠システムは、使用している給与計算システムと連携可能なのもがおすすめです。
連携可能なシステムを使用すれば毎月の給与計算が時短になるので、まだ給与計算を外部に委託することが少ないうちは特に重宝するでしょう。
法定三帳簿の作成・保管(出勤簿/給与台帳/従業員名簿)
法定三帳簿と言われる、「出勤簿」「給与台帳」「従業員名簿」の作成・保管も必要です。
こちらはシステムを使用して給与計算・勤怠管理を行っていればシステム上で出力・保険することが可能です。
まとめ
従業員を雇うと一人社長の時に比べ、法定業務が急増します。
また、従業員が複数人になってくると就業規則の作成についても検討する時期になってきます。
各種手続きが煩雑・手が回らない、インハウスでは対応が難しいと感じるようになった、等のタイミングでご相談いただけると幸いです。