会計・税務

法人成りとは?メリット・デメリットを解説!

新型コロナウイルスの流行に伴い、リモートワークが普及した事や、働き方改革により多くの人が生活環境に合った柔軟な働き方をする事が可能となりました。

こういった背景を受けて、これまで会社などの組織で働いていた人が起業するケースは非常に増えてきております。

起業するケースとして考えられるのは、個人事業主などのフリーランスとして活躍するか、法人成りをするかのいずれかが考えられます。

今回は法人成りについて解説していきたいと思います。

法人成りとは?

法人成りとは

法人成りとは、個人で事業を行っているフリーランスが、その後に法人を設立し、法人として個人事業主時代に行っていた事業を継続していくことです。

最初から法人として事業を開始する場合には、法人成りとは呼びません。

すでに個人事業主として事業を始めており、その事業を期の途中から法人として継続していくことを法人成りと言います。

平成18年の会社法改正により法人設立数が増加

グローバル化やITの進歩により、近年では多種多様なサービスを受ける事が出来る時代となりました。

このような背景から、他社との差別化を図る上で収益力や効率化などが要求される競争社会へ発展していく反面、倒産数も増加しております。

ただし、平成18年の会社法改正によって、法人設立数が増加しているのも現状です。

ここでいう平成18年の会社法改正とは、従来は法人設立の要件として、株式会社は資本金1,000万円、有限会社は資本金300万円が最低必要となっておりましたが、会社法改正によってその要件が撤廃され、現在では資本金が1円でもあれば法人を設立することが可能となりました。

しかし、法人設立の要件が緩和されたとはいえ、法人成りすることによるデメリットもありますす。

以下では法人成りした場合のメリットとデメリットについて紹介したいと思います。

法人成りのメリット

法人成りのメリットはいくつか考えられますが、般的に下記項目が挙げられます。

法人成りのメリット

①節税面で有利

②社会的信用力が増大

③責任範囲が有限責任

④事業承継が容易

①節税面で有利になる

個人事業主に比べて、法人成りした場合には、節税面で有利になります。

具体的に有利になる節税面としては、下記が挙げられます。

・役員報酬や退職金を経費として計上できる

・過去の赤字である欠損金を10年間繰り越すことが可能

・資本金1億円未満の法人の場合には課税所得800万円以下であれば法人税率15%であり、所得税率に比べて低い税率である事など、節税面で個人事業主と比べて有利である

・法人の設立1期目・2期目は消費税免税事業者であること

一般的にはこれらが節税メリットとして考えられます。

②社会的信用力が増大する

法人になるには、法務局へ会社の住所や代表者の情報などを登記する必要があります。

これらの情報が登記されることによって、誰でも登記簿謄本という公文書で、会社の情報を確認することが可能になる為、取引の安全性や社会的信用力は高まります

③責任範囲が有限である

個人事業主の場合、倒産時の債務弁済にあたり、事業主の全財産を処分する無限責任となります。

しかし、法人の場合、債務弁済については、出資した資本金の範囲内とされる有限責任となります

よって、事業規模が大きくなればなるほど負担する額も大きくなると考えられますが、法人であれば責任の範囲は資本金額までとなる為、リスク回避が可能となります。

④事業承継が容易である

個人事業主が死亡した場合には、個人名義の預金口座が凍結されるなど、事業に支障が生じます。

一方で、法人の代表者が死亡した場合、預金口座が凍結されるといった事はなく、法人の事業が行えない事態になるといったことはありません。

上記内容から、法人は個人とは別人格であるため、代表者が死亡した場合であっても、後継者によって法人の事業承継が容易となります。

法人成りのデメリット

法人成りのデメリットとしては、下記項目が挙げられます。

法人成りのデメリット

①コストの増大

②税務調査リスクの増大

③事務負担の増加

①コストがかかる

法人成りをしたことによって、税金や社会保険料、登記費用などのコストが多く発生してきます

税金面で言えば、個人事業主が赤字の場合には、所得税や住民税、事業税などの税金を支払う必要はありません。

しかし、法人が赤字の場合、法人住民税均等割というものが発生してきます

法人住民税均等割は、資本金の額や従業員数によって金額は異なってきますが最低7万円の納税額が必要になります。

また、法人成りをすることによって社会保険への加入が義務化されるので、社会保険料の支払いも発生してきます。

ただし、個人事業主であれば国民年金、国民健康保険料が発生する為、法人成りをすると保険料が増加するというわけではありません。

社会保険料については、社会保険料の負担が大きくならないように役員報酬を調整して負担を考える必要があります

その他に、法人成りをする際には登記費用などのコストも発生してきます。

②税務調査が入りやすくなる

法人は、個人事業主に比べて、売上規模が圧倒的に大きいことや不正行為なども多く行われていると考えられる為、税務調査に入られるリスクは高くなります

③事務負担が増大する

法人の場合、会計処理も個人事業主に比べて厳密な処理が求められることや、社会保険などの手続きも毎年行う必要があります

また、役員の変更登記や株主総会の開催などの事務負担も個人事業主に比べて増大します。

法人成りのメリット・デメリットまとめ

以上が法人成りに関する内容となります。

法人化するメリットはいくつかありますが、法人成りのきっかけとして多い理由は、節税です。

法人の場合、個人事業主と比べて多くの経費を計上出来る点や、法人税率は所得税率に比べて比例税率であることから所得が多ければ多いほど税率面でも有利になる為、売上規模が大きい事業者の方は法人成りした方が有利に働きます。

現在、個人事業主で法人成りを検討している方は、是非弊社へご相談下さい。

Conduct

植西 祐介
税務会計事務所・社会保険労務士事務所コンダクト 代表、公認会計士/税理士/社会保険労務士