【定額減税】従業員からのよくある質問への回答はこれで完璧【税理士・社労士が解説】
こちらの記事では、実際に給与計算担当者が行う定額減税の実務について解説しました。
いよいよ来月に開始が迫った定額減税の月次減税事務。
今回は、「定額減税について従業員に聞かれそうなこと」をまとめました。
従業員に聞かれる前に確認して答えられるよう備えましょう!
定額減税を受けるために申請など自分でするべきことはある?
定額減税を受けるための市区町村への申請等は不要です。
ただし会社から扶養家族の確認のために「令和6年分 源泉徴収に係る定額減税のための申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書」の提出を求められた場合は提出する必要があります。
定額減税においては16歳未満の子どもについても扶養親族の対象となるため、忘れずに記入しましょう。
外国人ですが定額減税は受けられますか?
日本人・外国人にかかわらず、以下に該当する方は定額減税の対象となります。
- 令和6年6月1日時点で会社に在籍している
- 給与等の源泉徴収において源泉徴収税額表の甲欄に該当する
- 非居住者(1年以上、国外に居住)でない
- 令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下(給与収入のみの場合、給与収入が2,000万円以下)である
パートをしている妻は扶養親族にカウントできる?
パートをしていても、合計所得金額が48万円以下(給与所得ならば額面103万円以下)であれば扶養家族にカウントすることができます。
税法上の扶養控除では、合計所得金額が「48万円超133万円以下」の配偶者も配偶者特別控除を受けることができますが、定額減税では合計所得金額が48万円以下の配偶者のみが対象になる点に注意が必要です。
7月に子どもが生まれる予定だけど定額減税の対象になる?
所得税の月次減税については、「6/1時点の扶養家族」の人数に応じて減税がされるため6/1より後に生まれた子どもは対象にはなりません。
ただし年調減税事務において、年末調整時点の扶養家族に応じて調整がされます。
そのため、結果として7月に生まれた子どもについても所得税の定額減税は受けられることになります。
しかし住民税の定額減税については、令和6年度の住民税額に対して減税がされるため令和6年7月生まれの子どもは対象になりません。
留学中の子どもは定額減税の対象になる?
仕送りをして扶養している子どもであっても、留学中の子どもは扶養親族に含めることができません。
この定額減税は、国内におけるデフレ脱却のための一時的な措置であるため、その対象者も国内の居住者に限定することとされています。
そのため、別居している場合でも国内に居住していて、扶養している子どもについては扶養親族に含めることができます。
普通徴収の場合、住民税の定額減税はどうなる?
普通徴収の場合は自身で住民税を納めますが、その場合も定額減税は受けられます。
定額減税「前」の税額をもとに計算された第1期分の住民税から減税額が控除され、控除しきれない分は第2期分以降の税額から順次控除されます。
減税額がすべて控除される前に退職した場合はどうなる?
減税額が残っている状態で退職した場合は、退職後に次に勤める会社における年末調整で控除されるか、確定申告によって控除を受けることができます。
住宅ローン減税の対象だが、定額減税も受けられる?
住宅ローン控除後の税額から定額減税がされるので、住宅ローン控除・定額減税どちらも受けられます。
住宅ローン控除により税額が低く、引ききれなかった減税分は調整給付がされます。
副業をしている場合はどちらの会社で定額減税を受けることになる?
2箇所以上で勤務している人については源泉徴収税額表の甲欄が適用される会社(本業としてメインで働いている会社。主たる給与の支払者という)にて適用されます。
自分自身でいずれの会社で適用させるかを選択することはできません。
まとめ
定額減税は今年のみの一時的なもので馴染みがなく内容も複雑なため、従業員からも前述のような質問がされる可能性が高いです。
質問される機会の多い給与計算担当者は、スムーズに対応できるよう事前によく理解しておきましょう。
定額減税のよくある質問についてはYouTubeでも解説しております。
定額減税(月次減税事務)の実務についてはこちらを合わせてご覧ください。