テレワークの勤怠管理はツール利用がポイント!管理の難しさ、勤怠ソフトの選び方を解説
前回の記事ではテレワーク中の労災について解説しました。
テレワークは事業主・上司の目の届かない場所での勤務ですが、過重労働による労災の発生を防ぐためにもリモートワーク中も正確な勤怠管理が必要です。
本記事ではテレワークの勤怠管理のポイント・勤怠管理ツールの選び方のポイントについて解説します。
テレワーク時も勤怠管理は会社の義務
正確な勤怠管理は会社の義務
労働安全衛生法により、会社には従業員の勤怠管理が義務付けられています。
事業者は第66条の8第1項又は前条第1項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者の労働時間の状況を把握しなければならない
労働安全衛生法第66条の8の3
勤怠管理ができていないと法令違反となり、是正勧告の対象となります。
テレワーク時もオフィス勤務と同様に勤怠管理が必要
勤怠管理の義務についてはテレワークやフレックスタイム制で働く従業員を含む全ての従業員が対象です。
厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」において、テレワーク中の勤怠管理は以下によるものとされています。
①客観的な記録による把握
例:
- PCの使用時間の記録
- バーチャルオフィスへの入退室記録
②労働者の自己申告による把握
例:
- Excelへの出勤・退勤時刻の入力
- 始業・終業時に電話やメールで報告
36協定の締結・割増賃金の支払いも義務
残業が発生する場合は、オフィス勤務と同様に36協定の締結・割増賃金の支払いも必要です。
テレワークの勤怠管理の難しさ
正確な労働時間の把握が難しい
勤怠管理は会社の義務ですが、管理者の目の届かない場所での勤務のため、オフィス勤務の場合よりも正確な労働時間の把握が難しいです。
従業員のコンディションや勤務態度が把握できない
管理者が直接従業員が働いている姿を確認できないため、勤務態度についても確認が難しくなります。
勤務態度が把握できないため、人事評価は成果物によるものになりがちです。例えば、数字として成果が現れにくいバックオフィス職の従業員の中には、適切な評価がされているか不安を感じる場合も。
反対に、本当に仕事をしているのか?と上司が不安を感じるケースもあるでしょう。
深夜・休日勤務やサービス残業による過重労働の危険
自宅で仕事ができる環境があると仕事とプライベートの境界があいまいになり、ついつい深夜・休日に仕事をしてしまうということも。
深夜・休日労働やサービス残業の増加も懸念されます。
過重労働に対しては、以下のような対策が考えられます。
- 原則として深夜・休日労働を禁止する
- 社内システムへのアクセス制限
メンタルヘルス不調の問題
コミュニケーションが不足することや仕事とプライベートの境界があいまいになるなど、テレワーク特有の原因によるメンタル不調に気づきにくい点も懸念事項です。
勤務時間の管理と合わせてストレスチェックや面接指導等で従業員のメンタル面についても定期的に把握する機会を持つことが重要となります。
テレワーク時の勤怠管理の方法
メールやチャット・電話で報告
手軽に導入できる方法としては始業時・終業時にメールやチャット等で報告するという方法があります。
メリット 手軽に導入できる・コストがかからない
デメリット 従業員が多かったり毎日テレワークという会社では管理の手間がかかる
Web会議システムを常時接続
Web会議システムに常時接続することで勤務時間や勤務態度を確認する方法です。
メリット カメラを通じて勤務状況を確認できることが可能
デメリット 監視されているように感じ従業員のモチベーションが下がる
PCの使用時間の記録で管理
PCを常時使用する業務の場合は、PCの使用時間の記録で勤務時間を管理することも可能です。
メリット 特に新しいツールを導入する必要がない
デメリット PCを使用しない業務については正確に把握できない・管理の手間がかかる
従業員による自己申告
厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」において、テレワークの場合の勤怠管理は自己申告による方法でも可とされています。
メリット 特に新しいツールを導入する必要がない
デメリット 性善説によるため過大申告・過少申告の恐れがある・
勤怠ツールを活用する
テレワークの勤怠管理として勤怠管理ツールの導入を検討されている企業も多いのではないでしょうか。
メリット クラウド型であれば外出先のスマホからも打刻が可能・給与システムとの連携が可能なものもある
デメリット コストがかかる・慣れるまでは手間がかかる
以下では勤怠管理ツールを選ぶ際のポイントについてまとめています。
勤怠管理ツールを選ぶ際のポイント
①使いやすいシステムか
ツールを導入する際は、従業員が直感的に操作できる使いやすいツールであることが重要です。
特にテレワーク中は操作方法を直接説明できる機会も少ないため、マニュアルやサポート体制が充実してるツールを選ぶと安心です。
②多様な働き方に対応できるか
テレワークはフレックスタイム制と合わせて導入されることも多いです。
また自宅で仕事をするということで、家事や育児のための中抜けも想定されるため、多様な働き方に対応したツールでないと運用が難しくなるでしょう。
③給与計算システム等との連携が可能か
勤怠ツールを導入するなら、給与計算システムとの連携はマストです。
勤怠ツールとの連携で給与計算の時短になり、生産性向上に繋がります。
④導入・運用コストは適正か
月額制、従業員数による従量課金制のツールがほとんどのため、今後の従業員数の増加も考慮して適正なコストのツールを選択しましょう。
まとめ
オフィス勤務時より管理が難しくなりますが、テレワーク中においても従業員の勤怠管理は会社の義務です。
勤怠管理ができていなかった場合は法令に違反するため、是正勧告の恐れも。自社に合った勤怠管理方法を導入し、適切に管理するように努めましょう。
テレワークの勤怠管理についてお悩みの場合は弊所までご相談ください!