あなたの会社は大丈夫?「助成金の申請をしたい」と思ったら、まずは確認したい6つのポイント
条件を満たせば、返済不要で受給できる厚生労働省の助成金。
助成金の中でも支給額も大きく、よく利用される助成金の一つがキャリアアップ助成金です。
一方で、キャリアアップ助成金の審査は年々厳しくなってきていて、不支給にならないためにもしっかりと事前準備をしなければいけません。
今回は助成金の特徴や支給申請の方法の前に、「そもそもキャリアアップ助成金を申請できる会社かどうか」を判断するためのポイントについて解説します。
①雇用保険に加入していますか?
助成金の申請ができるのは、「雇用保険適用事業所の事業主」です。
会社を設立したばかりで雇用保険への加入ができていない場合は、まず雇用保険の適用手続きが必要です。
②雇用契約書・賃金台帳・出勤簿は作成していますか?
申請時にも添付が必要
キャリアアップ助成金の申請時には、雇用契約書・賃金台帳・出勤簿の添付が必要です。
上記は助成金の申請をしない場合でも本来作成が必要なものではありますが、助成金を受給したいという場合は特にきちんと作成しておく必要があります。
長時間労働・残業代の未払いにも注意
助成金の支給申請をした際には賃金台帳・出勤簿はくまなくチェックされ、長時間労働・残業代の未払いが発覚すれば指摘されることも。
適切に対応しなければ助成金が受給できない可能性もあります。
助成金申請をしようと考えているのであれば、良い機会なので
- 勤怠をつけていないのであればつけるようにする
- 残業代の未払いがないか確認し、あれば精算する
など、できるところから整えていきましょう。
③就業規則を作成・届出できていますか?
助成金の支給要件に合う就業規則の作成が必要
キャリアアップ助成金の申請には就業規則の写しも添付し、助成金の対象となる取り組みについて明文化されているかが確認されます。
例えば正社員化コースに申請する場合、以下がポイントとなります。
- 正社員と正社員以外で区別されている
- 正社員への転換制度が規定されている
- 正社員に「賞与または退職金制度」と「昇給」の両方が適用されている
- 施行日が正社員転換前になっている
- 従業員10名以上の会社であれば監督署への届出が完了している(受理印がある)
就業規則は作成するだけでなく、監督署への届出・従業員への周知ができて初めて有効なものとなります。
従業員10名未満であれば必須ではない
従業員が10名未満の場合は、就業規則の作成は義務ではありません。
申請時には、就業規則に代えて、就業規則を作成していないことについての申立書を提出します。
厚生労働省の「モデル就業規則」では難しい
自社で就業規則を作成する場合、厚生労働省の「モデル就業規則」を参考にされることが非常に多いです。
しかし、会社の実際の運用に合わせ、さらに助成金にまで対応した就業規則を作るには「モデル就業規則」では足りません。
費用はかかりますが、助成金の受給可能性を高めるためにも経験豊富な社労士にお願いするのも安心あ方法です。
④助成金の申請前に従業員を解雇していませんか?
助成金の支給申請前の一定期間において、従業員を会社都合で解雇している場合、キャリアアップ助成金は受給できません。
正社員化コースの場合は「対象者の正社員化の前日から起算して6か月前の日から1年を経過する日までの間」に解雇が発生していないことが必要です。
⑤キャリアアップ計画届を提出していますか?
キャリアアップ助成金の取り組みを実施しようとする場合、「キャリアアップ計画届」を事前に提出している必要があります。
正社員化コースの場合、「正社員転換日」より前に届出し、受付印を押印されていることが必要です。
⑥助成金を受給できない事由に該当するものはありませんか?
以下に該当する者は「助成金を受給できない事業主」とされています。
該当するものがないか、念の為確認しておきましょう。
- 支給申請した年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納入していない事業主
- 支給申請日の前日から過去1年間に、労働関係法令の違反を行った事業主
- 性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業またはこれらの営業の一部を受託する営業を行う事業主
- 暴力団と関わりのある事業主
- 暴力主義的破壊活動を行った、または行う恐れがある団体等に属している事業主
- 支給申請日、または支給決定日の時点で倒産している事業主
- 支給決定時に、雇用保険適用事業所の事業主でない事業主
まとめ
特に就業規則の作成については、厚生労働省のひな形を参考するだけではキャリアアップ助成金に対応したものを作成するのは難しいです。
「助成金の申請を外注しよう」と考えているのであれば、就業規則の作成、出勤簿・賃金台帳など必要な書類の整備から合わせて、会社のことを良く知る顧問社労士に依頼するのが安心です。