会社が倒産した場合に行う税務手続きとは?必要な手続き・かかる費用も解説
会社経営を行っている事業者の方であれば、毎年、決算作業を税理士へ依頼して決算申告を行っている事かと思います。
経営がうまくいっている場合には問題ないですが、経営不振に陥り、資金繰り悪化で倒産してしまうかもしれないといった状況になると、税理士へ顧問料を支払う事すら厳しくなります。
そのような状況に至った場合、会社を終了・消滅させるためにどのような手続を行えば良いのか不安に思う方もいるかと思います。
今回は、会社解散・清算時に行う税務面での手続きについて解説していきたいと思います。
会社の解散・清算とは
会社の解散・清算とは、これまで行なってきた事業活動を停止し、法人格を消滅させる手続きの事を指します。
単に、事業活動を停止しただけでは法人格は消滅せず、法人格を消滅させるためには、「解散・清算手続き」が必要になります。
解散・清算手続きを行うことによる税務面でのメリット
- 決算作業を行う必要がなくなる・税金を納める必要がなくなる
会社を消滅させた場合、これらの作業を行う必要がなくなるため、事務負担や納税負担の軽減に繋がります。
解散・清算手続きを行うことによる税務面でのデメリット
- 清算手続きに関する税理士や司法書士への依頼報酬が発生する
- 精算時に資産を売却した場合には、譲渡に関わる消費税の納付が必要になる
解散・清算手続きを行うことにより、会社がこれまで所有していた債権債務の清算などの事務負担が発生してきます。
会社が消滅させるための手続きの流れについて
会社が資金繰り悪化等で倒産危機に瀕した場合であっても、事業活動を停止すれば法人格が消滅するわけではありません。
通常、法人格を消滅させるにあたり、まずは株主総会の特別決議において議決権を行使できる株主の過半数以上が出席し、そのうち議決権の3分の2以上の賛成を得ることによって、解散の意思決定を決議する必要があります。
その後は、解散・清算に向けていくつか手続きが必要になります。
解散・清算による手続きとは
会社が倒産した場合に必要な手続きは、以下の流れになります。
- 株主総会の解散決議
- 解散、清算人の登記
- 各機関へ解散した旨の届出書の提出
- 財産目録、貸借対照表の作成
- 債権者保護の手続き
- 解散事業年度における決算書の提出
- 残余財産の確定と分配
- 清算事業年度における決算書の提出
- 清算結了の登記
- 各機関へ清算した旨の届出書の提出
これらの手続きを経て、会社を清算することが出来ますが、全て完了するまでには最低でも2ヶ月以上の期間が必要になります。
上述した中で、債権者保護の手続きを行う方法として、「官報公告」と「個別催告」があり、官報公告をした場合には最低でも2ヶ月以上の期間を、債権者に対して会社が解散した旨を申し出ている必要がある為です。
実務上、決算書の作成や残余財産の分配などで、4ヶ月程度の時間がかかるのが一般的になります。
会社解散・清算時にかかる費用
会社が解散・清算する際にかかる費用は、一般的には下記内容が挙げられます。
- 官報公告にかかる費用
- 登録免許税
- 専門家報酬
- その他の諸費用
債権者保護手続きの際、官報公告を行った場合にかかる費用はおよそ32,000円程度になります。
登録免許税は、解散・清算人選任の登記をした場合39,000円、清算結了の登記をした場合2,000円がかかります。
専門家報酬とは、会社解散時に司法書士へ登記手続きを依頼したり、税理士へ税務申告書の作成を依頼した場合に発生します。
その他の諸費用として、株主総会を行う際に開催場所を借りる場合などは賃貸費用などが発生してきますので、状況に応じて追加費用が必要になってきます。
まとめ
今回は法人格を消滅させる為の、解散・清算手続きについて説明しました。
これらの手続きは登記事項や決算申告、残余財産分配手続といった専門手続が必要になる為、司法書士や税理士などの専門家へ依頼する事が必須になります。
不明な点があればお気軽に弊所までご相談下さい。