労務

育休の延長失敗!?従業員とのトラブルを防ぐために会社がやるべき3つのこと

育児休業が最大2年取れることは知られていますが、延長手続きの具体的な方法については詳しく知らない方が多いのではないでしょうか。

育児休業は正しい手続きを踏まなければ、延長をしても給付金が受給できないリスクがあります。

本記事では育休延長の仕組みと、会社側の注意点を解説しています。

育休延長の仕組み

「育休の延長」と「育児休業給付金の受給期間の延長」は別物

育児休業は育児介護休業法では

  • 原則子どもが1歳になるまで取得できる。
  • 保育園に入園できない等の事情がある場合は2歳まで延長できる。

とされています。

育児休業給付金が受給できるのは上記の法定の育児休業期間のみですが、会社として2歳以上でも育児休業を認めることは可能です。

本記事では社内の手続きとしての育児休業延長ではなく、「育児休業給付金の受給期間」の延長について解説します。

育休の延長は半年ごとに判断する

1歳時点で保育園に入れない場合は育児休業が延長されることはご存知の方が多いかと思います。

ここで注意が必要なのが、育休は半年ごとに延長の判断がされるということ。

  • 1歳時点で保育園に入れない場合:1歳半まで延長可能
  • 1歳6ヶ月時点で保育園に入れない場合:2歳まで延長可能

というように、半年ごとに決定されます。

そのため、子どもが1歳になる時点、1歳6ヶ月になる時点の2回のタイミングで延長の手続きが必要です。

保育園に入れないことを証明する書類が必要

育休延長には、市区町村から発行される保育園に申し込んだが入園できなかったことを証明する書類が必要です。

ここで重要なのが、「入所希望日が1歳の誕生月かつ1歳の誕生日の前日以前であること」です。

例えば4月10日生まれの場合、4月1日〜4月9日を入所希望として申請している必要があります。

入所希望日ごとの申込期限は市区町村により異なります。

育休延長にまつわるトラブルを防ぐためのポイント

①「就労証明書」は漏れなく期日に余裕を持って作成する

保育園の入園審査の際には、会社が作成した「就労証明書」の提出が必要です。

就労証明書には会社名・住所などの基本情報や対象者の業務、勤務形態、給与額などを記載します。

期日までに就労証明書を提出しないと保育園の入園申し込み自体ができなくなるため、従業員から依頼された際は速やかに作成しましょう。

保育園に入園できる基準は市区町村によって異なりますが、自宅での保育の困難さに応じて点数が加点・減点され、持ち点の高い順に入園できる点は共通です。

例えば夜勤や出張がある場合は加点がある自治体もありますが、会社での就労証明書への記載が漏れていたために加点がされず保育園に入れないという可能性も。

復帰後の勤務について対象の従業員とよく話し合い、事実の通りに漏れなく記載しましょう。

②延長の仕組みについて事前にアナウンスしておく

「1歳時点で保育園に入れない場合、引き続き育児休業給付金の受給を希望するなら市区町村の証明書が必要なこと」だけは産休に入る前に案内をしておくと良いでしょう。

会社が説明をする義務はありませんが、1歳を過ぎてから「育児休業を延長したい」と伝えられ、今から手続きしても延長ができない‥というトラブルを防ぐために伝えておくと安心です。

③雇用保険・社会保険の手続きを漏れなく行う

育休を延長する場合、会社として必要な手続きは

  1. 育児休業給付金の支給期間を延長する(雇用保険)
  2. 保険料の免除期間を延長する(社会保険)

いずれも1歳、1歳半時点で延長の手続きを行います。

手続きが漏れると育児休業給付金が支給されない、社会保険料が免除されないことになるので漏れなく申請しましょう。

雇用保険手続きの提出先はハローワーク、社会保険手続きの提出先は年金事務所と、提出先が異なる点も要注意です。

郵送・持ち込みだけでなく電子申請も可能です。

まとめ

とくに都市部では両親ともに正社員でも保育園に入れないケースは多いため、育休を取る従業員がいる場合は延長の手続き方法についても頭に入れておく必要があります。

産休・育休関連の手続きは煩雑なうえに従業員の生活に直結するためミスが許されません。

自社での手続きが難しいと感じた際はぜひお問い合わせください。

Conduct

植西 祐介
税務会計事務所・社会保険労務士事務所コンダクト 代表、公認会計士/税理士/社会保険労務士