助成金

【助成額1人80万円に】キャリアアップ助成金の拡充4つのポイント

2023年11月29日以降にキャリアアップ助成金の内容が拡充されます。

拡充のポイントは4つ。

  1. 助成金の見直し:1人あたり80万円に
  2. 対象者の要件緩和:3年未満要件の撤廃
  3. 正社員転換制度新設への助成:1社あたり20万円
  4. 多様な正社員制度への助成の拡充:1社あたり40万円

それぞれについて詳しく解説します。

①助成金の見直し:1人あたり80万円に

企業規模現行拡充
中小企業57万円80万円
大企業42.75万円60万円

支給額の拡充と合わせて支給対象期間も見直し

支給額は57万円から80万円と23万円増加しますが(中小企業の場合)、支給単位期間が2期(6ヶ月で1期)に分けられ、1期(6ヶ月)あたりの支給額は40万円です。

②対象者の要件緩和:3年未満要件の撤廃

キャリアアップ助成金の対象となる有期雇用労働者の雇用期間が「6ヶ月以上3年以内」から「6ヶ月以上」に緩和されます。

これまでは入社3年を超える有期雇用労働者は対象外でしたが、今後は対象になります。

③正社員転換制度新設への助成:1社あたり20万円

新たに正社員転換制度を新設した場合、1社あたり20万円(大企業は15万円)が加算されます。

「無期から正規」の転換制度を新たに規定した場合も同額が加算されます。

この加算は1社につき一度のみ受給が可能です。

例)中小企業で正社員転換制度を新設し、1人目の正社員転換を実施した場合

正社員転換の助成金80万円+制度の新設の助成金20万円=100万円が支給されます。

④多様な正社員制度への助成の拡充:1社あたり40万円

新たに多様な正社員への転換制度を新設した場合、1社あたり40万円(大企業は30万円)が加算されます。

★「多様な正社員」とは?

勤務地限定正社員職務限定正社員短時間正社員を指します。

勤務地や職務、勤務時間が限定されますが、就業規則上正社員と同じ待遇を受ける必要があります。

「無期から正規」の転換制度を新たに規定した場合も同額が加算されます。

この加算は1社につき一度のみ受給が可能です。

例)中小企業で多様な正社員への転換制度を新設し、1人目の多様な正社員への転換を実施した場合

正社員転換の助成金80万円+制度の新設の助成金40万円=120万円が支給されます。

改正が適用されるのはいつから?

2023年11月29日以降に正社員化した場合に適用

キャリアアップ助成金の改正は 2023年11月29日以降に正社員化した場合に適用されます。

拡充後の支給対象期間は「12ヶ月」になったため、実際に支給申請ができるのは1年以上先となります。 

例)末締め、翌月15日払いの会社で2023年12月1日に正社員に転換した場合

支給申請できるのは2024年11月30日までに勤務した分の給与を支給する2024年12月15日の翌日から2ヶ月以内です。(=2024年12月16日〜2025年2月15日に申請)

助成金は申請期限を1日でも過ぎると支給申請を受け付けてもらえないため、管理には気をつけましょう。

正社員転換前に計画書の届出は必要

キャリアアップ助成金の支給申請をするためには、正社員転換を実施する日までに「キャリアアップ計画書」を提出している必要があります。

その他、助成金申請に必要な事項についてはこちらの記事も合わせてご覧ください。

まとめ

今回の改正によりキャリアアップ助成金は以下のように変わりました。

(下記は中小企業の場合の金額です。)

  • 助成金の金額:1人あたり57万円→80万円(=23万円アップ)
  • 支給対象期間:6ヶ月→12ヶ月(=支給申請できるのが半年遅くなる)
  • 対象となる有期雇用労働者の要件:雇用期間3年以内→上限を撤廃
  • 正社員転換制度新設の助成:新たに正社員転換制度を規定すると20万円(受給は1度のみ)
  • 多様な正社員制度導入の加算額の拡充:9.5万円→40万円(受給は1度のみ)

助成金の申請は準備する書類が多く、不備があると苦労して申請しても支給されないことも。

助成金の申請をしたい、自社でも申請できるか知りたいという場合はぜひご相談ください。

Conduct

植西 祐介
税務会計事務所・社会保険労務士事務所コンダクト 代表、公認会計士/税理士/社会保険労務士