会計・税務

年末調整だけじゃない?実は確定申告をしないといけない6つのパターンを徹底解説!

一般的なイメージとして、年末調整は会社勤めをしているサラリーマンが行うもので、確定申告は事業をしている人が行うもの、というイメージではないでしょうか。

年末調整と確定申告は、いずれも納めるべき年間の所得税を計算するという点では同じですが、サラリーマンの方が年末調整をしていても確定申告も合わせて必要な場合もあります。

今回はそれぞれの違いと、年末調整しても確定申告が必要なパターンについて紹介したいと思います。

年末調整と確定申告は何が違うの?

年末調整とは?

会社に勤務しているサラリーマンが対象であり、収入が給与のみである人が対象者となります。

年末調整は1月から12月までの1年間で稼いだ収入に対する所得税を正しく計算する事を言います。

年末調整によって所得税を安くする事が出来る所得控除として、扶養控除、配偶者控除、保険料控除などの適用を受けられます。

一方で、医療費控除やふるさと納税などによる寄附金控除については年末調整では適用出来ないので注意が必要です。

確定申告とは?

確定申告とは年末調整と同様に、1月から12月までの1年間で稼いだ収入に対して納めるべき所得税を計算する事です。

確定申告は2月1日から3月15日までに提出しますので、年末調整の後に行われる手続になります。

年末調整と異なる点として、年末調整をしなかった給与所得の他、不動産所得や事業所得、雑所得など全ての所得が対象となります。

また、年末調整で適用出来ない医療費控除や寄附金控除、雑損控除なども確定申告の対象になります。

年末調整をしていても確定申告が必要になるパターンとは?

給料をもらっている多くの人が、勤務先で年末調整をしてもらい、1年間の納めるべき所得税が計算されます。

しかし、年末調整だけで計算できない所得や控除がある場合には、確定申告をする必要があります。

確定申告が必要になるパターンとして、主に下記6つ内容が挙げられます。

①医療費控除の適用を受ける場合

1年間を通して、医療費が原則として10万円超である場合には確定申告をすることにより、医療費控除の適用を受けることが出来ます。

また、上記医療費控除との併用は出来ませんが、セルフメディケーション税制を適用する場合には、控除額88,000円を限度として、1年間で購入したスイッチOTC医薬品の金額が12,000円を超えた部分について所得控除を受けることが出来ます。

②2ヶ所以上から給与を受け取っている場合

本業以外にアルバイトなどをしており、2ヶ所以上の勤務先から給与を受けている場合には、すべての勤務先の収入を合算した金額で確定申告を行い、正しい所得税を計算する必要があります。

2ヶ所以上の勤務先がある場合、所得税が戻ってくるケースが多いので、確定申告をすることをおすすめします。

③副業による所得が20万円を超えた場合

副業により獲得した所得が20万円を超えている場合には確定申告が必要になります。

注意点として、所得とは収入から経費を差し引いた利益のこと言いますので、収入が20万円であっても経費を差し引くことにより、利益が20万円以下であれば確定申告は不要となります。

④株式の売買で特定口座を選択していない場合

株式投資を行う上で投資先の会社から分配される配当金や、株式を譲渡したことにより、所得税が発生します。

投資する際に、「特定口座」や「一般口座」などを選択します。

「特定口座」の場合には、配当金や譲渡所得が発生した際には自動で源泉徴収されます。

一方で、「一般口座」を選択した場合には、配当金や譲渡所得が発生した際に源泉徴収されないので、自分で確定申告を行う必要があります。

⑤ふるさと納税をしている場合

ふるさと納税をしている場合には、寄附金額から2,000円を差し引いた金額が寄附金控除額として所得税の節税に繋がります。

しかし、年末調整では寄附金控除の適用を受けることが出来ない為、ふるさと納税をしている人は確定申告を行う必要があります。

⑥初めて住宅ローンを組んだ場合

ローンを組んで自宅を購入した場合、年末時点における住宅ローン残高の1%に対して、10年間は住宅ローン控除の適用を受けることが出来ます。

ただし、住宅ローン控除の適用を受ける為には、住宅を購入した年において、確定申告する必要があります。

2年目以降は、勤務先で年末調整により住宅ローン控除の適用を受けられますが、1年目は必ず確定申告が必要になるので注意が必要です。

まとめ

年末調整をしていても確定申告が必要なパターン6選について紹介しました。

最後に紹介した住宅ローン控除については、2年目以降であれば年末調整によって適用を受けることが出来ますが、1年目は確定申告が必要になるので注意が必要です。

1年目で確定申告をしていないと、2年目以降は年末調整により適用を受ける事が出来ません。

会社勤めだから年末調整だけで問題無いと思っている人は、上述したケースに当てはまっていないかを今一度ご確認する事をおすすめします。

Conduct

植西 祐介
税務会計事務所・社会保険労務士事務所コンダクト 代表、公認会計士/税理士/社会保険労務士